たった1人の野球部員 夏の京都府大会へ黙々と練習-大江高土永選手
2021年06月07日 のニュース

夏の甲子園出場をかけた京都府大会が近づくなか、たった1人で練習に励み、夢の舞台をめざす高校球児がいる。福知山市大江町金屋、府立大江高校2年の土永健嗣君=石原=。昨夏の大会以降、野球部員は1人となったが、指導者の若手教諭3人とスクラムを組み、汗を流す日々を送る。府大会には、南部の連合チームに加わって出場予定。「レギュラーを獲得し、部長、監督、コーチに恩返ししたい」と、闘志を燃やしている。
野球人気の落ち込みや文化系の部活を選ぶ生徒が増え、部員数は年々減少。一昨年は7人、昨年は5人となり、ソフトテニス部員らが助っ人として加入し、昨夏の大会までは、大江高単独で何とか出場できていた。
しかし、大会が終わり、当時の3年生3人が抜けたことで、2年生と土永君の2人になり、2年生が「進路実現に向けて勉強に集中したい」と退部。部員は土永君だけになった。
それでも、「小学校から続けてきた野球を辞めたくない」と奮起。1年の秋、2年の春の大会には出場できなかったが、今夏は京都八幡、朱雀、京都教育大付属の連合チームに加わり、出場する予定になっている。
大会に向け、山口拓哉部長(28)と池内優真監督(25)、神崎蓮コーチ(26)の3人が指導し、火曜~土曜までは学校で練習。火曜はバッティング、水曜はノックなど、内容を一つに絞って技術を磨いている。
日曜は、早朝に池内監督の車で学校を出て、京都八幡高校=八幡市=で連合チームの練習に参加。他の3校は部員が複数人いて、土永君は1人のため、まだコミュニケーションが取りづらいというが、山口部長は「大会が近づけば、結束力が高まるのでは」と期待している。
土永君は「現時点の目標は、夏の大会で外野手としてレギュラーをとること。お兄さん的存在の部長、監督、コーチの3人には感謝していて、活躍する姿を見せたい」と意気込んでいる。
山口部長は「辞めずに続けているのは、本当にすごいこと。ただ1人だとキャッチボールすらできず、指導が難しい部分はありますが、こつこつ努力していて、よく頑張っていると思います」と評価。「夏の大会では、ぜひレギュラーの座をつかんでほしい」と話していた。
写真=たった1人でも熱心に練習する土永君