「明智光秀からの手紙」を福知山市が出版 智将の丹波攻と人物像に迫る史料本

2021年01月19日 のニュース

 京都府福知山市が、全国から集めた明智光秀の丹波攻略に関する歴史資料をまとめた史料本「明智光秀からの手紙」を発行した。関係する武将のものを含め書状62点を、図版と解説を付けて掲載。智将・光秀の戦運びや政治手腕、戦いで傷ついた配下を気遣う人柄などの人物像にも迫る。

 市はこの一年、光秀を主人公にしたNHK大河ドラマ「麒麟がくる」に合わせ、内記一丁目の市佐藤太清記念美術館内で開設する福知山光秀ミュージアムで、光秀と関連武将の書状など歴史資料の特別展をしてきた。

 史料本は特別展の集大成で、「麒麟がくる」の時代考証を務める静岡大学名誉教授の小和田哲男さんが監修、丹波の戦国史を長年研究している同美術館主任学芸員の芦田岩男さんが執筆した。

 収録する書状は光秀37通、娘婿の秀満(左馬助)6通、主君の織田信長4通、丹波攻略戦で光秀を苦しめ「丹波の赤鬼」の異名を持つ黒井城主・赤井直正3通など。丹波攻略時の戦場の図面や関連年表も付ける。

 そのうちの一つ「明智光秀書状(大阪青山歴史文学博物館蔵)」は、光秀が天正3年(1575)7月に丹波の宇津氏攻略に取り掛かった戦闘で負傷したとみられる丹波国船井郡の国人・小畠左馬進に宛てたもの。「傷の養生が大切であること、医師に診せて治療を施すこと、これから寒い時期になるので気を付けること」など細かな気遣いを寄せている。解説は、小畠氏は丹波攻略戦における新参の与力で「特段の配慮をうかがわせる内容であり、光秀の性格があらわれている」と締めくくる。

 大橋一夫市長は「福知山の地は、信長の命により丹波国を平定した光秀によって開かれました。本能寺の変で逆臣、逆賊として語られることが多いですが、当地では善政を敷き、現在も市民に愛されています」。小和田さんも「光秀ほど家臣に対し、優しい言葉をかけている武将は他にいないのではなかろうか。光秀の人物像を見直す手がかりになれば幸い」とイメージアップに期待する。

 A4判110ページで、税込み1100円。福知山城、市美術館、市役所で販売している。問い合わせは市文化・スポーツ振興課、電話0773(24)7033へ。
 
 
写真=光秀などの書状を図版入りでまとめている

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