33年に一度の秘仏開帳 朝来市・法宝寺の薬師如来
2020年10月10日 のニュース

但馬の古刹、兵庫県朝来市の法宝寺(ほっぽうじ)本尊・木造薬師如来坐像が33年に一度の御開帳を迎えた。これを記念して朝来市埋蔵文化財センター・古代あさご館が特別展「但馬びとの祈り~そのカタチ、やおよろず」を開いている。講演会や御開帳見学会も企画していて、それぞれ先着で受け付けている。
■人びとの祈りをテーマに古代あさご館で特別展■
法宝寺は天平20年(748)に行基が男山中腹に開いた山岳寺院で、当時は室尾寺と呼ばれた。弘仁8年(817)に弘法大師が本尊開眼して真言宗となったと伝わる。鎌倉時代には大いに栄えて15の堂宇を構え、応仁の乱の夜久野ケ原の戦いで兵火に遭ったという。
昭和9年(1934)に大雪で庫裏が倒壊、ふもとにあたる現在の朝来市和田山町岡田に移転した。
本尊の薬師如来坐像は平安時代の作で、今年は兵庫県有形文化財に指定されて50年の節目でもある。
特別展では人びとの「祈り」の込められた版木や絹本墨画などが並ぶ。大同寺宝物で県指定文化財の「絹本墨画白衣観音図」(古代あさご館寄託)は、今回が初展示。

また最後の松江藩主・松平定安公が8女の鑑子姫の健やかな成長を祈り丁寧に土中に納めた胞衣(えな)箱一式、鳥取県の泥塔など県外から借り受けた貴重な出土品も展示。資料はいずれも「先祖が抱いていた季節や自然に対する思い、死生観などがあふれている」という。
会期は12月13日までで、時間は午前9時から午後5時まで。月曜休館(祝日の場合は翌日休)。
特別展は入館料500円だが、文化財保護強調週間(11月1日から7日)は300円。小中学生、70歳以上無料。古代あさご館は山東町大月、北近畿豊岡自動車道無料区間のパーキングエリア・道の駅但馬のまほろばにある。電話079(670)7330。
■25日に講演会開催、11月8日に見学会■
講演会は今月25日午前10時30分から、古代あさご館一般展示室で。兵庫県立歴史博物館の神戸佳文さんが「但馬の仏像~朝来市域を中心に」と題して話す。先着30人を受け付け中。
御開帳見学会は11月8日。午前の回はすでに満員で、受け付けているのは午後1時、2時、3時の回。各回先着10人。解説は神戸佳文さん。
いずれも申し込み・問い合わせは古代あさご館へ。
■御開帳の期間延長■
御開帳そのものは、今年4月から11月30日までの予定だった。しかし新型コロナウイルス感染防止のため外出自粛が求められたことから御開帳期間を来年11月末まで延長することにした。密を避けるためにも、参拝には事前に問い合わせを。法宝寺は電話079(672)2829。
写真上=法宝寺本尊で秘仏の薬師如来坐像。平安時代の作で県指定文化財
写真下=松江藩主・松平定安公の8女、鑑子姫の胞衣箱。乳幼児の死亡率が高かった時代に、子の健やかな成長を祈った親の思いが込められている(写真提供:松江市 松江歴史館所蔵)