被災経験の洋菓子店マウンテン 7月豪雨支援の菓子販売
2020年07月22日 のニュース

京都府福知山市字猪崎、三段池公園の近くにある洋菓子のマウンテン(水野直己代表)は、九州など各地に大きな被害をもたらした今年の7月豪雨の被災地に、義援金を贈る取り組みをしている。チャリティー商品を作り、売り上げの全額を被災した人や現地で被災地支援活動をしている団体に贈る。販売開始から約1週間過ぎたが、多くの人が協力し、予定の250個を完売する日も近い。
7月豪雨は、今月3日から九州や中部地方などで発生した集中豪雨。内閣府のまとめによると、20日午前6時現在で死傷などの人的被害108人、住家被害1万6064棟など、甚大な被害をもたらした。
マウンテンは1978年に南本町で初代水野亘さんがオープン。ワールドチョコレートマスターズ2007フランス・パリ世界大会で総合優勝を果たした水野直己さん(42)が2009年にシェフ・パティシエとなり、2012年に蛇ケ端のゆらのガーデンへ移転してオープンした。しかし、直後の13、14年に連続して洪水で被災したことなどから、17年に現在地へ新築移転した。
先代の亘さんのころから、大きな災害などがあると焼き菓子などを作って被災した人を励ましてきた。東日本大震災の時なども同様だった。一方、同店が被災したときには、たくさんの人から支援してもらった。
水野シェフもスタッフも、支援を受けて営業を再開できた感謝を常に忘れず、今回の災害でも「自分たちにできることはないか」と自然に思いが巡った。そんな中で始めたのが義援金のための菓子の販売だった。

マカロンやクッキーなどたくさんの菓子がガラスの容器に入れられ、1個500円。1人で多額の協力をしてもらうよりも、大勢の人に義援金の取り組みに参加してもらった方が有意義になるとの思いを込めて安価にしている。
代金は買った人に専用の募金箱へ直接入れてもらう。子どもが義援金を箱に入れることも多く、「自分も協力したという意識は、成長していく中で意義を持つ」と考えている。
水野シェフは「今回の水害で、自分のことのように心を痛めている市民の方も多いと思います。この取り組みが、何か支援したいと考えている人のきっかけになればうれしい」と話している。
毎週水曜日は定休。
写真上=上被災した人への思いを込めて販売している菓子の詰め合わせ
写真下=被災後、新築移転した福知山市猪崎にある店舗