鬼面めがけ矢を10射 賀茂神社で240年続く「百々手式」
2020年02月25日 のニュース

福知山市夜久野町小倉の賀茂神社で古式ゆかしい弓神事、10人が10射ずつする「百々手(ももて)式」が23日に行われた。氏子約30人が参加し、鬼を描いた面(的)に弓で矢を射て、厄除け祈願をした。240年以上前から続く、市内でも珍しい行事。
賀茂神社は、京都市の上賀茂神社から旧口小倉に分霊された神社で、創建年は不明だが、境内にある石灯籠には天明の年号が刻まれている。大正8年(1919)に、もとあった場所から現在地に移された。
賀茂神社では古来、参拝者に黒豆入りのおにぎりと煮しめを、お神酒とともに振る舞うなど、盛大に行ってきた。
しかし、少子化の影響を受け、今では氏子が26世帯54人と減少し、小学生は一人もいない。20年ほど前から神事を簡素化し、開催日も2月19日と決まっていたが、近年は2月の最終日曜日にしている。
氏子たちは参拝したあとで、手作りした竹製の弓矢を使って、5、6メートルほどの距離から的をめがけて、長さ1・2メートルの矢を次々と放った。
氏子の白髭順さん(78)は「昔は子どもの声が響いていたけれど、だんだんと少なくなってきて、寂しくなった。なんとか昔のように子どもの声が聞こえる時代になったら、うれしい。伝統行事をこれからも長く、氏子中で団結して、続けていきたい」と話していた。
写真=鬼の面(的)めがけて矢を射る氏子