避難のミスマッチなぜ? 水害常襲地・福知山の背景探る

2020年01月30日 のニュース

 「避難情報が出ても実際の避難行動につながらない」。水害常襲地の京都府福知山市で起きているミスマッチだ。その背景を探った。

 2018年の7月豪雨。福知山市は家屋14棟が全壊、40棟が半壊し、1161棟が床上床下浸水した。道路は328路線525カ所が被災し、通行止めも2路線出ている。

 この時の避難に関する調査アンケートを市が2019年2月に行った。被災地域を一定盛り込む無作為抽出で1600通を発送し、713通を回収した。

 アンケートの回収率は5割に届かなかったものの、住民の関心の高さはうかがえる。しかし、内容を見ると、96%が避難勧告や避難指示の発令を知っていたにもかかわらず、実際に避難をした人は11%にとどまった。

 避難しなかった理由(複数回答可)で最も多かったのが「自宅から見える周囲の様子から安全と判断したから」が308人。次いで、「避難するほうがかえって危険だと思ったから」が212人、「自宅に直接的な被害がなかったから」が192人と続いた。

 7月豪雨時に福知山市内では死者こそ出なかったが、ぞっとすることが起きていた。

 市の土砂災害発生状況調査によると、土砂崩れが発生する30分前に声を掛けられ逃げ延びた(私市)▽いつもは(土砂で全壊した)離れにいるが、たまたま母屋で食事をしていて助かった(波江)-など、危機一髪の事案が10件あった。私市を含み、うち2件は土砂災害警戒区域外で発生しており、土砂崩れの予兆の難しさを物語る。市危機管理室は「これまで大丈夫だったからという考え方が一番怖い」と警鐘を鳴らす。

 現行の避難情報は、水害は由良川と支流の流域単位で、土砂災害は旧1市3町単位で出される。しかし、地域が広すぎたり情報があふれすぎていて、避難の必要性が自分事として受け取れないことが課題として上がる。

 そこで、市はこれまで以上に地域を細分化して避難を促す市独自の「ローカルエリアリスク情報(仮称)の発信」の具体化へと取り組みを進めている。

 ローカルエリアリスク情報は、土砂の場合は各自治会単位など細かく地域を限定することを想定。内水に関しては各地の経験則を基に浸水メカニズムを分析し、浸水発生の予告情報として対象の地域に事前に知らせる方向で調整している。「従来の避難情報を補完しながら、『本当にその場所が危ない』ということをわかりやすく伝えることで、避難の後押しにしたい」

 7月豪雨では、山から反対側の自宅内垂直避難で命が助かった人がいる。必ずしも避難所に行くことだけが絶対ではないが、早めの行動はどんな時も有用だ。避難について今一度考える必要がある。

写真=7月豪雨で裏山が崩れて住宅をのみ込んだ。近隣住民の声かけで、家の人は発生30分前に逃げることができた(私市で18年7月12日)

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