夫婦でボランティアガイド 二人三脚で福知山の良さPR
2020年01月03日 のニュース
明智光秀ゆかりの福知山城や御霊神社など、京都府福知山市内の見どころを案内するボランティアグループ「福知山観光ガイドの会」に、仲むつまじく2人でガイドを務める夫婦がいる。かしの木台に住む小谷雅喜さん(67)と妻の千鶴子さん(67)。二人三脚で市外からの観光客に、地元の良さを伝えている。
2017年秋に、観光ボランティアガイドの講習会を夫婦で受講したのがきっかけ。雅喜さんは昔から歴史好きで、人としゃべるのも大好き。福岡県出身の千鶴子さんも歴史好きだった父親の影響を受けており、熊本城などを見に訪れていたことから、福知山城についても知りたいと思い、一緒に講座を受けた。
何をするのも基本は2人でと決めている。これまで、そば打ちや陶芸、カラオケなども一緒にやってきた。その年の12月にガイドの会から勧誘を受け、「それならば2人で、多くの人たちに喜んでもらおう」と入会を決め、18年4月から正会員となった。
最初は先輩会員について行き、ガイドの仕方を2人で学んだ。主に福知山駅から福知山城までを巡るコースと、福知山城を中心に回るコースで案内をする。
雅喜さんは、何に対してものめり込むタイプで、城を築いた武将・明智光秀についても猛勉強。「光秀と名の付く本はすべて買い、受験生当時を思い出すかのように夜遅くまで学びました」と笑う。デジタル機器のタブレットに必要な情報を入れて、日夜読み返している。
そうして得た情報は自宅で千鶴子さんにもしっかりと伝え、夫婦でのガイドに役立てている。
千鶴子さんは、雅喜さんのサポート役に徹するという姿勢を貫く。「ガイドだけでなく、絵手紙などほかのこともやりたいので、忙しくならないように一人での案内はせず、あくまでも主人のサブとしてガイドをしています」ときっぱりと言う。
夫婦でのガイドの場合、雅喜さんが福知山の歴史や城、光秀、まち並みなどについて解説する。これまで集めた情報は説明しやすいようファイルにまとめ、写真や文章を見せながらしゃべる。
毎回話す基本的な事柄に加え、出来るだけ新しい話題を盛り込んで紹介する。千鶴子さんは雅喜さんのガイドぶりをそばで聞き、「うまい」と感心しきりで、「いつもお客さんのように聴き入ってしまいます」と言う。
一方、千鶴子さんは観光客の気持ちを和らげようと、まずは世間話で応対。「どちらから来られました」と切り出し、互いに興味を持っていそうな話題を投げかけ、会話を弾ませる。
福知山城では、雅喜さんによる光秀の説明の合間に、黒髪を売って光秀を支えた妻、煕子の伝承を紹介。また福知山がスイーツのまちで売り出していることから、和洋菓子店などの案内もしている。
雅喜さんは「最初は妻の出番。女性がしゃべりかけることで、警戒心を持たれずに済む。訪れた人たちとの距離をぐっと縮めてもらえ、その後のガイドがしやすい」と感謝する。
「いつも行動は一緒なので、ガイドをする時も、目の見える範囲内にいてくれることですごく安心感があります」と雅喜さん。千鶴子さんは「絶対1人でガイドはできません。そばに夫がいてくれればこそ、やっていける」と絆の深さを確かめる。
観光客には真っ先に「ごらんの通り夫婦でございます」と言う。広島市から訪れ、夫婦のガイドを受けた男性(67)は「夫婦でフォローし合い、上手にガイドをされ、いろんなことがよく分かった」と話していた。
明智光秀を主人公にしたNHK大河ドラマ「麒麟がくる」が今月19日から放映される。ドラマ化決定で、福知山城へ訪れる人の数が増えている。
小谷さん夫婦は「一期一会となるお客様に、おもてなしの心で接し喜んでもらえることで、やりがいや楽しさを味わえるガイドを続けたい」と話す。
やめる時も2人一緒で。絆は決して緩むことはない。
写真上=一緒に会に入り、観光ガイドを務める小谷さん夫婦
写真中=特製のファイルを片手に説明する雅喜さん
写真下=福知山城で、煕子の黒髪伝説を紹介する千鶴子さん