伝統の祭りも光秀一色 大河放映を前に夜久野「額田のダシ」
2019年10月10日 のニュース

京都府福知山市夜久野町額田の伝統の祭り「額田のダシ行事」が12、13両日、地区一帯で開かれる。呼び物のひとつが野菜類で制作する「下ダシ(つくりもん)」。福知山城を築いた明智光秀を主人公にしたNHK大河ドラマ「麒麟がくる」が来年放映されるため、今年は全5自治会がテーマを光秀に統一し、急ピッチで作業を進めている。
全国的に珍しい行事で、京都府と福知山市の無形民俗文化財に登録されている。夜久野を代表する祭りに成長し、京阪神からの来場者も年々増えて、近年は1万人以上が訪れる。額田区の5自治会長らで組織する「額田ダシ振興会」(月見一正会長)が中心になって継承、PR活動に取り組む。
下ダシは、子ども歌舞伎が廃止された1905年、地区の青年たちが五穀豊穣に感謝し、「川中島合戦」の光景を野菜で作ったところ好評で、地区全体に広がったと伝わる。
それ以降、各自治会は野菜や果物など30-60種類を材料に、大河ドラマやアニメなどの一場面を、工夫を凝らしてつくるが、今年は「光秀をPRする絶好の機会」と、各自治会が早々と作品のテーマを決めた。
テーマは、下町「明智光秀国境検分」、上町「光秀築城」、旦「明智光秀の鷹狩り」、奥「麒麟がくる」、向「本能寺の変」で、宮本(上町、旦)、下町の山車の2階部分の上ダシも、光秀を飾る。
このほか郷土芸能の学習として取り組む夜久野小学校4年生と下夜久野保育園の下ダシも並ぶ。
公開時間は12日が正午から午後10時、13日が午前8時から午後10時まで。このほか、西日本唯一といわれる2階部分が回る山車2基と太鼓屋台の巡行がある。時間は12日が午後6時から同11時ごろまで、13日が午前8時から同11時45分まで。古代信仰の名残を伝える一本木の御神木巡行は13日午後1時30分から同9時30分ごろまで。
台風の進路が心配されるが、下ダシは、荒天の場合も展示する。屋台などの巡行は、雨で中止する場合がある。
月見会長は「先人が築いた郷土芸能を文化の振興と地域の活性化のために役立てていきたい」と話している。
写真=光秀の鎧を飾り付ける奥の住民