出荷農家不安 開設20年迎えた「やくの高原市」だが-所在の道の駅に閉鎖懸念

2019年09月27日 のニュース

 新鮮な野菜類販売が好評を得ている京都府福知山市夜久野町夜久野高原、道の駅「農匠の郷」内にある農産物直売所「やくの高原市」が、今年で開設20周年を迎えた。28、29両日には感謝の気持ちを込めて記念イベントを開く。一方で市が、農匠の郷の利用者減などを理由に「今後のあり方」の検討を進めており、出荷農家は「大きな節目を祝いたい気持ちはあるが、道の駅が閉鎖に陥るような事態になれば販路が閉ざされる」と不安を隠せない。

農匠の郷には、市の指定管理施設の温泉、ベゴニア園、宿泊施設のほか、市直営のやくの木と漆の館、化石郷土資料館など11施設がある。このうち高原市は唯一の公設民営施設で、1999年4月に各地の営農組合有志27人が集まり、運営委員会を組織して開設した。その後、会員数は徐々に増えて2003年以降は80人台から90人台で推移している。

売り場は会員数の増加などを受け、当初の倍の約195平方メートルに広がった。高原の黒土で育った甘みの多い作物がウリで、その日に収穫した新鮮な野菜を中心に、果物や加工品なども並ぶ。昨年夏からはリコピンなどの機能性成分を豊富に含み、食味に優れた「機能性野菜」の販売にも乗り出した。

買い物の利用者数は2006年~8年は8万人前後(レジ集計)を数え、その後、周辺道路事情の変化で国道9号の交通量が減少して下降傾向となったが、近年も大根炊きや新ジャガ祭り、スイカ割りなど集客イベント開催に力を注ぎ、昨年は約5万8千人の集客があった。

田村孝利運営委員会長(71)は「利用者自体は減り気味ですが、頼もしい後継者も入会しています」と高原市の将来性を語り、「京阪神からのリピーターも多く、何より農家の人にとって生きがいの場となっていて、荒廃農地の抑制にもつながっています」と存在意義を説明。「市が実施する調査で、民間事業者から活性化に向けての名案が出されることを期待しています。高原市を何としても守っていきたい」と話す。


写真=新鮮な野菜類が並ぶ店内

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