利用者減少の道の駅「農匠の郷」 民間に「今後の運営」提案求める
2019年08月26日 のニュース
京都府福知山市は、利用者数の減少や施設の老朽化が進む夜久野町平野の道の駅「農匠の郷やくの」(ファームガーデンやくの)について、今後の運営のあり方について検討を進めている。この一環として、民間事業者から運営手法や活用アイデアなどの意見、提案を受ける「サウンディング型市場調査」を実施。9月5日に説明会と現地見学会を開き、翌日から調査への参加の受け付けをする。
農匠の郷は、農村と都市との交流、地域産業発展などを目的に、旧夜久野町が1999年にオープンし、2002年8月に国交省から国道9号の道の駅として登録された。夜久野高原内にある東京ドーム3つ分にあたる13万9千平方メートル余りの敷地に、指定管理となっている温泉、ガラス温室(ベゴニア園)、宿泊施設、飲食施設などが営業し、ほかに市直営のやくの木と漆の館、化石郷土資料館などがある。さらに公設民営の高原市、民間の飲食施設があり、計11施設が点在する。
利用者数はオープン間もない02年度には約30万人を数えたが、その後、兵庫県側に京阪神に短時間でアクセスできる北近畿豊岡自動車道が建設され、国道9号の交通量が減ったことなどを背景に、徐々に減少。18年度は約13万1千人にまで落ち込んだ。施設の老朽化も進んでいる。
このため市では現状での運営だけでなく、施設の貸し付けや用途変更などによる存続など、今後のあり方について約3年前から検討を進めてきた。
こうしたなかで、民間事業者や団体から課題解決に向けての提案、意見を聞く機会を設けようと調査を計画。調査参加検討者を対象にした説明会を9月5日に同町額田の夜久野ふれあいプラザで開き、終了後、現地見学会をする。9月6日から10月4日まで調査への参加を受け付け、10月7日から21日までに1グループ5人以内で、30分から1時間を目安に市関係者と対話をする。
対話内容は指定管理施設だけでなく、エリア全体のアイデアも対象にする。市からは活用アイデアの概要や所有形態、運営方式、アイデア実現への条件、課題を尋ねる。10月23日以降に実施結果の概要を発表する。庁内で検討後、事業者を公募する。時期は未定。
市では「夜久野高原には観光資源も多く、高原の黒土土壌で育った野菜や果物は甘くておいしいと評判です。より良い方向で存続させていく思いで実施する調査です」と説明。「地域の状況と行政課題を民間事業者らに提示し対話することで、民間事業者の創意工夫を生かした活用案の検討ができる。民間事業者にとっては、自らのノウハウが公募内容に反映される可能性があり、参入しやすくなるだろう」とする。
写真=農匠の郷やくのの中核施設となっている温泉「ほっこり館」