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両丹日日新聞2017年12月21日のニュース

発達障害者を職場の戦力に 高技専が新科で訓練

キャリア・プログラム科 社会生活を送る上で周囲の人から誤解されやすい発達障害者を対象にした職業訓練「キャリア・プログラム科」が、京都府福知山市平野町の府立福知山高等技術専門校(高橋裕行校長)で今秋スタートした。万全の準備を整えてもなお期待と不安を抱えての開科だったが、3カ月を経て順調に訓練が進み、関係者たちは自信を深めている。年明けからは企業に出向いての職場実習も始まる。

 発達障害は100人に1人、あるいは10人ほどの割合で発生するともいわれる脳機能障害の一種。コミュニケーション(相手の言うことを正確に理解したり、自分の思いを分かりやすく伝えることが難しい)▽社会性(いわゆる「空気を読む」ことが苦手)▽こだわり(自分のルールに過度に固執しやすい)などに難がある。そそっかしく落ち着きがない、忘れ物や落とし物をしやすい、整理整頓が苦手、段取りが悪く時間通りに物事が進められない−というケースもある。

 原因は解明されていないが、周囲の理解や適切な支援で症状を緩和することができ、能力を発揮して職場の貴重な戦力にもなり得るとされる。

 そこでキャリア・プログラム科では、社会生活技能訓練や各種作業訓練を通じて、コミュニケーション能力や環境への適応力、問題解決力を身につけることに重点を置くことにした。

 訓練期間は6カ月で、定員5人。第1期は多くの応募があり、医師の意見書なども含めて選考のうえ、福知山や舞鶴など府北部の19歳〜35歳の男性5人が入学した。

 それぞれ就労経験があり、校内訓練では、前の職場での失敗例も“教材”にして学習している。

 ある日の訓練では、机を向かい合わせて「なぜ職場でトラブルになったのか」について意見交換。信頼し合える場だという安心感から、本音が次々飛び出し、失敗の本質が見えてきた。当人にはつらく耐え難かった行為が、周囲の人にとっては「打ち解けるため」の親切心だった事例も浮き彫りになり、「今度そういう場面になったら、どういう反応をするといいのか」を探ったり、無用の摩擦を避けるために事前にしておくことなどが、各自から提案されていった。

 実務訓練やパソコン演習の時間もある。指導するスタッフたちは「生徒は人と接することが上手じゃなかったりする一方、知的レベルは高く、パソコンの使い方が指導員より詳しい生徒がいるし、板書中に漢字につまったら、すかさず教えてくれる生徒もいます」と紹介。「特性にあった職場に就けば、きっと活躍してくれるはず」と話す。

 就職開拓も学校にとって大事な課題。事業所を訪ねては、発達障害や訓練の様子などを丁寧に説明し、理解の輪を広げている。

 来春には第2期の5人が入学してくる。「今度は社会人経験の無い新卒者もいることでしょう」。新しい科のさまざまな試みが続く。


写真=コミュニケーション能力を高める訓練のほか、職場で役立つパソコン演習などの時間もある

    

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