WEB両丹

きょうあったいい話、夕飯までに届けます。京都府福知山市の情報を満載した新聞社サイト

タブメニュー

両丹日日新聞2017年10月25日のニュース

福祉施設の廃棄物処理 住民監査請求を棄却

 一般廃棄物処理業者の違法、不当行為を黙秘、放置して京都府福知山市に損害を与えたとして、市議会議員が、環境政策室長ら4人に損害賠償を求め、8月に請求した住民監査について、市監査委員が請求を棄却していたことが、23日に分かった。

 請求によると、市内の業者が民間社会福祉法人との間で、「事業所ごみ」の搬出契約をしていたのに、手数料が半額の「家庭ごみ」と偽り、環境パークに持ち込んでいたと指摘。違法行為を把握しながら、黙認してきた環境政策室は「市の収入となるべき、収益金額の徴収を怠った」とした。

 損害額は2015、16年に業者が支払ったごみの手数料から算出。2年間の不足分501万890円を、環境政策室長、参事、次長補佐と元次長に賠償させるか、その他の必要な措置を求めていた。

 監査請求を受け、市監査委員は環境政策室に聴取。「特定の一般廃棄物処理業者が、事業所ごみを家庭ごみと偽り、搬入していた事実はあるか」との問いに、「これまでから、居住系社会福祉施設の居住者が出す生活ごみは、家庭系ごみとして受け入れる運用を行ってきた」と前提を説明。

 「該当の業者はこの運用に基づき、処理施設に持ち込まれていると認識しており、偽って搬入していたものではない」とし、「市が黙認してきたとする事実もない」と伝えたという。

 監査委員は、これらの聴取と関係資料を基に、法令などで事実関係を検証。「居住系社会福祉施設が委託した業者が、入居者の生活ごみを家庭系ごみとして搬入し、受け入れていることに違法性は認められない」と判断した。

 一方で、「該当業者が処理施設に搬入したごみに占める家庭ごみの重量割合(他の委託分含む)は、15年度が91・2%、16年度は97・5%とあまりに大きく、2年の比較でも伸びが極めて不自然」と指摘した。

 ただし、「居住系社会福祉施設から排出されたごみのうち、家庭系と事業系の排出割合を導き出すことはできず、たとえ混在したものが、家庭系として搬入されていたとしても、処理手数料として徴収すべき金額との差額を、監査委員として明らかにすることはできない」とした。

 これらの結果、「一般廃棄物の処理について、家庭系一般廃棄物として搬入され、受け入れていることに違法性があるとは認められないため、請求に理由がないものと判断し、請求を棄却する」との結論を出した。

■「明確なルール作りが必要」■

 このほか付帯意見として、「居住系社会福祉施設に入居している個人が、日常生活を営むことに伴って生じた廃棄物は、事業系か家庭系であるかの判断について、明確な基準はなく、自治体の判断による部分が大きいと言わざるを得ない」と分析。

 その上で、「居住系社会福祉施設は、運営形態が複雑化しているにもかかわらず、搬出方法や取り扱い基準が統一されていないのが現状。混乱や不公平をきたさないため、明確なルール作りに取り組むなど、必要な対応を速やかに講ぜられたい」とした。

■市民が納得できる対処を■

 請求が棄却されたことを受け、市議は「残念な結果。市長は一連の事実を知っているにもかかわらず、対応をされていないことも、同じく残念でならない。市民が納得できる対処を望む」とし、「司法での決着についても検討している」と話した。

    

[PR]


株式会社両丹日日新聞社 〒620-0055 京都府福知山市篠尾新町1-99 TEL0773-22-2688 FAX0773-22-3232

著作権

このホームページに使用している記事、写真、図版はすべて株式会社両丹日日新聞社、もしくは情報提供者が著作権を有しています。
全部または一部を原文もしくは加工して利用される場合は、商用、非商用の別、また媒体を問わず、必ず事前に両丹日日新聞社へご連絡下さい。

購読申込 会社案内 携帯版 お問い合わせ