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両丹日日新聞2017年10月 6日のニュース

揺れる強固な保守地盤 谷垣氏引退の京都5区

支援者回りをする立候補予定者 衆議院選挙の公示日(10日)が迫ってきた。かつて「全国一の無風区」とさえ呼ばれた京都府福知山市を含む京都5区は、12期連続当選の自民党元総裁、谷垣禎一氏の政界引退という激震に揺れ、波乱の戦いへと様相を変えている。自民系の保守は分裂し、民進党が事実上合流する新党・希望の党が躍進を狙う。共産党なども活発に動き、現在のところ新人5氏の激戦が見込まれる。 (足立秀高記者)

 谷垣氏が不出馬の意向だとする報道が、9月20日に流れた。寝耳に水の自民党府支部連合会は、慌ただしく公認候補選出に動き、公募選考で府議会議員(宮津市・与謝郡選出)の本田太郎氏(43)を擁立することを24日に決めた。

 同月末に東京で入院中の谷垣氏と面会した本田氏は「『府北部は君に任せたので、選挙はできるかぎりの支援をする』とお声がけいただいた。伝統の保守本流の地盤を守る」と気持ちを引き締める。30日には舞鶴市に安倍晋三首相が駆け付けて「谷垣先生の最後の選挙」と鼓舞した。

 谷垣氏の地元の福知山。これまでの衆院選なら公示前からまちの話題に上るが、今回はなかなか熱があがらない。ある自民関係者は「『谷垣さんへの義理は果たした』という声を聞いた」と頭を抱える。

 テコ入れがあったのは4日の自民党福知山支部の役員会の席。谷垣禎一福知山事務所の村上影次秘書が、谷垣氏の政界引退の情報が報道先行で、福知山に入りにくかった経緯を説明して頭を下げ、「本田さんが当選できなかったら、谷垣の仕事は半分果たせなかったことになる」と訴えた。横に並んだ本田氏は「私のことを知らない方がいることは存じております。それでも議席を守りたい。府北部を元気にしたい」と支援を求めた。

 谷垣氏は、全国的に自民が大敗して野党に転じた09年でも京都府内でただ一人勝利し、地盤の強さを見せた。前回14年(自民、民主、共産3氏が出馬)は次点に倍近い大差で圧勝。党幹事長として応援に徹し、全国を飛び回って一度も選挙区に入ることがなかったが、7市町別でも得票率は全てトップ。支えたのは5区の自民の府議、市議ら支援者で、それぞれの地元で票固めに動いて一枚岩だった。

 しかし、今回は違う。府連本部役員、京都5区の府議ら12人の投票で決めた公認候補選考は、人口規模や党員数の地区差などが票数に考慮されていないなどとして、不満を持つ自民関係者らが反発。その支援を受けて前京丹後市長の中山泰氏(57)が1日に無所属で出馬を表明した。

 出馬表明会見で中山氏は「選考が十全な形ではなかったと思っている。谷垣先生の後継を決める今回の選挙だからこそ、広く党員の声を聞く必要がある。保守改革の選択肢として有権者に判断を仰ぎたい」と意気込む。

 これまでの京都5区は、自民、民進(旧民主)、共産の三つ巴が続いた。今回は保守が割れる形となったうえ、事態は更に複雑化する。

 小池百合子東京都知事が率いる希望の党から公認された前防衛大臣官房審議官の井上一徳氏(55)が出馬する。

 井上氏は、第1次安倍内閣で小池知事が総理補佐官(国家安全保障問題担当)だった時に防衛省の担当を務めた。出馬にあたっては出身の舞鶴でと考えたといい、「しがらみのない政治をめざす」と力を込める。

 事実上の合流をして多数の候補者を希望から出す民進党。井上氏への支援の動きを見せていた党府第5区総支部は、4日に正式に支援を決定した。この前に井上氏と出会って協議を詰めた総支部幹部は「素晴らしい人材。戦える」と臨戦態勢に入る。

 共産党新人の山内健氏(49)は「保守分裂や新党の参戦は今までになかったことだが、私がやることには変わりはない」。安保問題や生活第一の政策を街頭宣伝などで訴える。

 今回の選挙では、共産が野党共闘へ前向きな姿勢を示してきたことで「前は独善的な正論といわれていたが、今は違ってきている」と語る。

 自由党の公認を得ていた新人の鈴木麻理子氏(33)は、党が公認候補を出さない方針となり、無所属での出馬も視野に調整を進めている。

 目まぐるしい展開となった京都5区。衆院選は10日公示、22日投開票で行われる。


写真=支援者回りをする立候補予定者

    

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