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両丹日日新聞2017年7月 4日のニュース

伝統行事「丹波大文字」がピンチ 火床修復に費用

丹波大文字 京都府福知山市の夏の行事として親しまれている「丹波大文字送り火」がピンチに立っている。火床の修復などに費用がかさむうえ、市民からの協賛金(塔婆供養料)が、年々減ってきている。今年の開催に向けての会合が1日夜、送り火が点火される姫髪山(標高406メートル)のふもとにある奥野部公会堂で開かれ、役員10人が集まり、危機をどう乗り越えるかについて検討した。

 会合には、丹波大文字保存会(芦田正男会長)、市仏教振興会、市仏教会(ともに会長・佐々木善数願成寺住職)の人らが出席。「火床の土止めに建築資材を流用してはどうか」「60年以上の歴史がある伝統行事、郷土の文化としてのPRを」「企業・団体からの協力金も考えたら」などの提案があった。

 丹波大文字は1951年から現在まで続いており、丹波大文字保存会、市仏教会、福知山商工会議所が共催している。毎年8月16日夕方に中ノの市厚生会館で仏教会などが「丹波大文字法要」を営み、先祖供養とともに4年前の花火大会露店爆発炎上事故の犠牲者の追悼をする。同日午後8時からは保存会が、市街地から西に見える姫髪山の山頂付近に「大」の送り火を点火する。

 火床崩れがひどくなってきたのは数年前から。保存会によると、姫髪山周辺には100頭以上のシカがいることが定点カメラで確認されているという。以前は火床周辺の草刈りが重労働だったが、今ではシカが草をすっかり食べつくし、地面がむき出しになっている。

 このため激しい雨が降ると火床を支えている土止めが崩れたり、地面がえぐれてしまう。特に斜面の傾斜が急な「大」の字の2画目、3画目の払いの部分は被害が大きい。業者に修理を頼んだり、保存会で山頂付近に排水路を設けたりしてきたが、この費用が年々かさんでいるという。

 会合では、排水路の幅を広げ、深くする手直しをする案が出された。さらに、長期にわたって補修する必要をなくすために、伐採した雑木を利用している土止め板を建設現場の足場板に換え、それを支える杭も鉄筋から単管パイプに換える案が出され、安く購入する方法も検討された。

■協賛金減少 運営費用赤字の危機■

 一方、送り火や法要といった一連の催しを開催するには毎年約500万円が必要となるが、塔婆供養料として一口500円を目安に集められる協賛金は、2008年には522万円分集まっていたが、昨年は406万円にまで落ち込んだ。  仏教会からは「このままでいくと、あと5年ほどで運営費用が赤字になる。法要にかかる費用を切り詰めてでも送り火を存続させるという意思統一が今こそ必要だ」と報告された。
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 協賛金が減っている原因としては「仏教行事へ関心が薄れている」「一口500円が徹底していない」「宗教色のある協賛金を自治会を通しては集めにくい」ことなどが挙げられた。

 今後、協賛金を増やし、集めやすくするために「送り火は古里の伝統行事、郷土文化であることをPRする」「保存会の主催にし、仏教会は現在の『共催』から『協賛』にし、宗教色をなくす」などの方向を検討することにした。

 さらに「個人の協賛金に加え、大口の企業・団体協賛金を設けてはどうか」「『みんなの花火』のように、どんな宗教の人も自由に協賛できるものにしたらどうか」などの提案があった。

 保存会の芦田会長は「丹波大文字は、福知山のシンボル的なもの。先人の苦労があったからこそ、小さな街であるにもかかわらず送り火を続けてこられた。さらに愛される行事にしなければと痛感している。市民のみなさんには、伝統行事継続へご理解とご協力をお願いしたい」としている。


写真上=市街地から望む丹波大文字(2015年撮影)
写真下=会合では火床をどのように改修するかなどが話し合われた

    

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