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両丹日日新聞2016年12月19日のニュース

南の島で初の合奏 ソロモンの卒業式に贈った楽器響く

ソロモンの卒業式 南太平洋の小さな島で小学校の卒業式があり、島で初めての合奏が行われた。福知山から贈った鍵盤ハーモニカを使い、2年生たちが国歌と州歌を演奏。見るのも初めての楽器を短期間で猛練習し、全力を出し切った子どもたちに大きな拍手が送られた。

 小さな島々からなる国「ソロモン諸島」の中の小さな村、マルーのアーノン・アトメア・コミュニティースクール。マルーには昨年7月から京都府福知山市三和町出身の中学校教員、西山裕介さん(28)が、国際協力機構(JICA)の青年海外協力隊として派遣されている。現地の様子をコラムにして両丹日日新聞で同年10月から連載。屈託のない子どもたちの姿や、文化風習が違う中で悩み戸惑いながらも教育に打ち込む姿が、多くの読者の共感を得ている。

 こうした中、福知山の教育関係者の間で、使わなくなった楽器をソロモンの子たちに贈ろうとの話が持ち上がった。まず6小学校から鍵盤ハーモニカ44台とリコーダー8本が提供され、年2回のJICAの便で今年10月に現地へ届けられた=既報。

 これとは別に、惇明小を今春卒業した児童たちから提供された鍵盤ハーモニカ18台、リコーダー18本、昭和小卒業児たちから提供された鍵盤ハーモニカ9台、リコーダー2本が、西山さんの家族の私費で届いた。

 憧れの日本から届いた友情のプレゼントに、子どもたちは大喜び。みんな夢中になり、いつまででも音を出し続けていた。

■福知山で撮影の演奏ビデオをお手本に■

 12月に卒業式を行うソロモン。楽器演奏の初披露を、この卒業式で行うことになり、さっそく猛練習が始まった。

 音を出すことに夢中になりすぎ、先生の指示が耳に入らない子どもたち。静かにして話を聴くという、日本の音楽の授業では当たり前の習慣も、ソロモンの子たちの体に浸透させるには時間がかかり、粘り強く練習を重ねるしかなかったという。

 「合奏」を知らない子たちのために、惇明小の6年生と音楽クラブの児童たちが合奏するビデオが届けられ、大きく役立った。「あんな風に演奏できるように」と、2年生たちは連日の居残り練習に励んだ。

 本番が近づくと、家へ持ち帰っての自主練習も繰り返し、普段静かな村のそこここから、鍵盤ハーモニカの音が聞こえてきた。

 こうして迎えた卒業式の日。きれいに飾られた会場に多くの来賓、立派なガウンや首飾りを身にまとった卒業生、家族たちが並ぶ。緊張を隠しきれず、そわそわしていた2年生たちだったが、先生の指揮が始まると集中。見事に演奏し切って、大きな拍手に包まれた。

 大役を果たし、引き続き卒業式に臨んでいた子たちは、「疲れ切ったのか、楽器を大事に抱えながら眠ってしまっていた」といい、「みんなを抱きしめてあげたくなった」と西山さんは振り返る。

 「ソロモンの子どもたちは、日本の、福知山の人びとの思いをしっかり受け止めています。そして楽器は、教育の場で有効に活用され、子どもたちに成長をもたらしています。ソロモンの先生たちと一緒に、心からの感謝を申し上げます」


写真=緊張の中で一生懸命演奏する2年生たち

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