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両丹日日新聞2016年2月 4日のニュース

料理のプロたちが絶賛 新しい味−中丹のジビエ

0204jibie.jpg 食材として捕獲された野生鳥獣肉「ジビエ」の魅力を広めようと、中丹3市の飲食店31店が参加しての「京都中丹ジビエフェア2016」が、1日から始まった。京都府中丹広域振興局の呼びかけに応じた3市の31店が参加し、ジビエを使った自慢のメニューを提供している。参加店が使うのはシカ肉とシシ肉。中でもシカ肉は、牛、豚、鶏に次ぐ新しい食味として料理のプロたちが絶賛している。

■欧州では高級食材 観光資源にと期待■

 日本ではまだ馴染みの薄いジビエだが、本場欧州では伝統的な高級食材として使われてきた。ジビエ料理を看板として掲げる名店も多い。
 
 国内では一部の食通に根強い人気がある程度だったが、近年は、新しい味を求める人たちを中心に認知度が高まってきた。こうした中、福知山市夜久野町にシカ肉の処理施設ができると、「おいしい」「日本人の口に合う」と評判が急速に広まり、京都府の後押しもあって中丹地方でメニューに取り入れる飲食店が相次ぐようになった。府が力を入れる観光施策「森の京都」でも、積極的にPRをしていて、今後ますます人気が広まりそうだ。
 
 増えすぎて農林産物に大きな被害をもたらしているシカ、イノシシを適正規模にまで減らすためにも、捕獲した後の食材としての有効活用に期待が高まる。都市部の人やインバウンド(海外からの観光客)を呼び込む新たな観光資源としても注目を集める。
 
 ただ、そのためには、まず地元の人たちがジビエの魅力を知っていなければ、大きな広がりは期待できない。関係者たちはみな「一度食べてもらえば、おいしさを分かってもらえるのだけど」と話している。

■滋味豊かな肉の天然もので「くさみがない」■

 「魚は養殖ものより天然ものが喜ばれますよね。ジビエは肉の天然ものですよ」と説明するのは、福知山市土師宮町、地中海レストラン「ソレイユ」のオーナーシェフ河村直貴さん(53)。大阪のホテルで仕事をしていた頃からジビエを扱っていたこともあり、中丹地方でシカ肉が供給されるようになって、すぐメニューに取り入れた。
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 福知山で店を構えた時から地元の食材にこだわり、「できる限り福知山の食材を発掘して使い、それで他府県の人においしいと言ってほしかった」といい、地元産のジビエ登場を大歓迎した。

 これまで一般的に「シカ肉はくさい」というイメージを持たれていたが、夜久野町で食肉処理されているシカ肉は、処理技術が高く、作業が丁寧なため、くさみがほとんど無い。それに加えて滋味がとても豊か。「コンソメを作るとき、牛肉だと3回の工程が必要ですが、シカなら1回で濃く力強い味が出る。言うなれば生命力の違いですね」

 昨年のジビエフェアにも参加し、肉と野菜、水、香辛料だけで食材の味を引き出したスープが好評だった。今年も「丹波鹿と冬野菜のスープ仕立て」として提供。同じく人気だった「丹波鹿赤ワイン煮込みのパスタ」に加え、今年はショウガなどで和風アレンジした「丹波鹿スペアリブの窯焼き−醤油風味−」を追加した。「お客さんにとっては、食べたことのないものに手を出すのは抵抗があるかも知れませんが、私たちが頑張って、おいしいものだと知ってもらい、広めていきたいですね」と意欲を見せる。

写真=「日本人の口に合うよう工夫しています」とソレイユの河村シェフ


■初めての調理でも夢中に 「地元産で鮮度がいい」■

 シカ肉は、初めて調理した人をも唸らせ、夢中にさせる味だった。

 駅南町、やきにく亭「かどや」の店長、梅田智貴さん(43)は、「店のメニュー構成が定番もの中心だったので、何か新しいことをやってみよう」とシカ肉を試してみることにした。「くせが強いだろう」との先入観を持っていたが、試食してみると「くせが無く、美味。これはイイ!」と確信。今回からフェアにも参加することにした。
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 提供するメニューは「スパイシージビエ(オリーブオイル漬け)」。夕日ケ浦の塩と、たっぷりの香辛料をかけ、オリーブオイルに漬けた、客が自分で焼く焼き肉用の肉。一見すると簡単なメニューのようだが、ここにたどり着くまでには様々な試行錯誤を重ねた。

 ごくシンプルに塩コショウだけにしてみたら、少しパサつき感があった。ワインに漬け込んで焼いてみると、味は良かったが、店では焼く前の生肉の状態で客に提供するため、難があった。くさみが無く、どんな味でも受け止める食材だからこそ、いろんなものを加えすぎると、せっかくのうま味、シカ肉ならではの特長まで消してしまう。スパイスの種類、バランス、量、スライスする肉の厚さなど、様々に工夫して自信の一品に完成させた。

 「地元なので鮮度のいい肉が手に入ります。まずは先入観無しに食べてみてほしいです」と梅田さんは話している。

写真=シカ肉のうま味が残せるよう試行錯誤を重ねた、かどやの梅田店長


■和食、そばにも合う 「くせなく柔らか」■

 「ジビエの地元」夜久野町、夜久野高原の道の駅農匠の郷内にある「夜久野マルシェ」では、昨年、シカ肉コロッケで定食メニューを考案してフェアに参加。人気メニューとなり、フェア終了後もシカ肉コロッケを提供してきた。今年は「モミジカツ高原定食」でフェアに参加する。
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 直見にジビエ食肉加工施設を構える田舎暮らし社の中島健太郎社長からアドバイスを受け、シカ肉をカツにした。自家製黒豆みそに自家栽培のトウガラシなどを加えた特製ソース、自家栽培の大根おろしとポン酢の2種類の味で楽しんでもらう。これに、ご飯とおかず一品、漬物、自慢の十割そばをセットにした。ご飯は、かやくご飯の日や黒豆ご飯の日があり、おかずも日替わり。みんな自分たち農産加工グループ平野グループ(衣川麻子代表)が栽培した米、野菜を使っている。

 ここでも、くせが無く柔らかいシカ肉の特性が生かされ、店内で製麺する打ち立てでのどごしの良い十割そばとの相性がバッチリ合っていると、店の人たち。「シカ肉コロッケと並ぶ人気メニューに育ってほしい」と話している。

写真=夜久野マルシェのモミジカツ。十割そばなどとの定食にしている

    

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