多くの犠牲者を出した2005年春の福知山線尼崎列車事故の教訓を踏まえ、JR西日本福知山支社は、福知山市半田の福知山電車区内の実設訓練センターで9日に関係機関と連携し、事故対応合同訓練をした。昨秋に定期運行から退いた特急381系車両を、実際に自動車に衝突させ、本番さながらに緊迫感が漂う中で救出や救護をし、緊急時に備えた。
山陰線の福知山−上川口駅間の本庄踏切で、立ち往生していた自動車に4両編成の特急電車が衝突した−との想定で実施。JRのほか、福知山警察署、福知山消防署、市などから総勢約100人が参加し、まだ朝霧に包まれた午前9時に開始した。
特急電車は自動車を見つけて非常ブレーキをかけたが間に合わず、踏切内の自動車側面に「ドン」という鈍い音を響かせてぶつかり、約20メートル押し進み、停車した。
乗務員は、併発事故を防ぐために赤い炎を出す信号煙管を線路内に置き、接近する列車に合図。さらに、支社の運転指令室に連絡を入れ、警察、消防などに出動を要請した。
しばらくすると、緊急車両がけたたましいサイレンを鳴らしながら相次いで到着。福知山消防署のレスキュー隊は、エアジャッキで電車を持ち上げ、線路との間に挟まれた車のドライバーを救出。さらに器具を使ってドアをはずし、車内に閉じ込められた同乗者を助け出した。
■警察・消防と合同で トリアージも■
救出・救護班は列車に梯子をかけて、負傷した乗客20人を担架などで車外に運び出した。治療や救急搬送の優先順位を決めるトリアージ訓練もあり、緊急性の高い負傷者から順に応急手当てをし、市内外の病院に搬送した。
最後に、福知山消防署の塩見雅邦署長が講評し「とても士気旺盛で、それぞれの機関が連携のとれた訓練ができたと思う。今後もより実践に近い形式での訓練を続けていくことが大切」と話した。
写真=自動車のフロントガラスを切断し、同乗者を救助する福知山消防署員
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