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両丹日日新聞2015年8月15日のニュース

8月豪雨から1年 教訓生かし効果的な水害対策を

0812dorokyo.jpg 福知山市街地の広範囲が冠水した8月豪雨災害から1年を迎える。8月の月間雨量の約2・5倍にもなる300ミリ以上が24時間で降るという局地的な豪雨で、まちなかを流れる由良川支流の弘法川、法川が氾濫、市街地の排水能力を大きく超えて、あふれだした内水がまちを襲った。浸水被害の再発防止と減災へ、市民は効果的な対策を切望している。

 福知山中心部の17日午前5時50分までの24時間雨量は、それまでの観測史上1位だった253ミリを大きく上回る303・5ミリ。降り始めの15日午前2時からの総雨量は357・5ミリに達した。

 1時間雨量も過去最多の62ミリ(17日午前4時30分、篠尾新町)になり、特に雨が一番激しかった16日夜から17日未明の6時間の間に1時間雨量約50ミリを3回も観測した。

 同じ福知山市内でも周辺部はそれほど降っていない。由良川流域の上流部の雨も少なく、由良川福知山観測所の最高水位は、17日午前5時ごろで計画高7・74メートルより低い6・48メートルだった。

 近畿地方に停滞した前線に湿った空気が流れ込んだことで雨が降り続いた。福知山では積乱雲が断続的に発生、通過した。これにより猛烈で局地的な豪雨に見舞われたとの見方が強い。

■床上浸水2千棟 商業被害30億円■

 これまでの由良川本流からの水害と違い、住宅密集地や事業所が多い市街地が冠水し、被害は近年の水害で突出して膨らんだ。

 浸水家屋は、床上2029棟、床下2471棟で計4500棟。由良川福知山観測所で過去最高水位の8・3メートルに達し、流域の広範囲に被災した一昨年の台風18号の1090棟と比べても多かった。

 商業被害も大きく、これまでとは桁違いの1032事業所が被災し、被害総額は30億円を超えた。

■国、府、市がハード対策■

 国、府、市の3者は、8月豪雨による床上浸水被害の95%解消を目指す短期治水対策に、15年度から5年間の計画で取り組んでいる。

 排水能力が不足した市内の排水ポンプ機能を増強、新設して現行から2・4倍の計毎秒85・4トンを確保する。

 河川改修は氾濫した弘法川、法川の拡幅や掘削などをする。弘法川は、8月豪雨時の浸水範囲を中心に、国道9号笹尾新橋から和久市町の西川合流地点近くの弘法川橋までの1キロ強を改修。橋の中央に橋脚があり、流木がひっかかって河道をふさいだ篠尾新町の道路橋は架け替える。フレッシュバザール福知山篠尾新町店横中央橋下流で水の流れる面積は現行の約2倍を見込む。

 このほか、遊水機能を有する調整池、調節池の整備、流木や土砂を出さない治山整備などがハード事業として挙げられている。

■避難情報迅速に■
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 ハード事業は目に見えて効果的だが、それだけで万全ではない。排水ポンプは由良川本流の水かさが、一定以上に増えた場合などは運転できない。8月豪雨は100年に一度、福知山の局地的豪雨だけを見れば1千年に一度とさえいわれる特殊な降り方だったが、今後、それすら上回る雨の可能性がないわけではない。命を守るソフト対策も同時に進めていく必要がある。

 8月豪雨で雨が激しく降った市街地。前例のない内水被害は想定外で、状況把握に手間取った市の避難勧告は後手に回った。これを教訓に、市は防災情報の素早い把握と提供への改善を図っている。

 登録者に送信される防災情報メールは、市の職員が入力している。8月豪雨以降、「雨が強くなっている」など、避難所開設前からの防災情報が頻繁に届くようになった。

 由良川沿いの浸水想定区域を中心に市内34カ所に設置する屋外拡声スピーカー。防災情報を早口に話すと声が反響する。雨風の音にもかき消される。聞き取りやすいように、一文字一文字をはっきりとゆっくりと話すようにしている。

 それでも聞き取りにくい場合には、テレホンガイドシステムで補う。6回線の専用電話(25)1122で、直近の防災情報の自動音声が流れる。

 避難所は職員が赴いて鍵を開けていたが、災害によっては現地に到達できない場合がある。自治会長らに鍵を渡して、素早い開設に備える。

■ライブカメラとコンビニ連携有用■

 市は、問屋町、駅前町、堀口の3カ所にライブカメラを設置。市街地の河川、排水路、周辺道路の状況を24時間いつでも監視できるようになった。

 ライブ映像は、国、府が設置する由良川本流と支流の水位情報と合わせて、市ホームページで確認できるようになっている。

 市と市内のセブンイレブン全10店が6月、災害発生時の情報提供の協定を結んだ。

 8月3日午後に市街地が激しい豪雨に見舞われた際に、ライブカメラの映像で状況をリアルタイムで把握。セブンイレブンとの情報伝達のやり取りもして、それぞれ有用性を確認した。

■地域に合わせた防災マップづくり■

 市がソフト事業の肝として掲げるのが「地域防災マップ(マイマップ)」づくり。

 災害は地域によって事情が異なる。自主防災組織単位を基本に、住民自ら危険箇所や避難経路を地図に落とす。初実施の今年度は、20地区を募り、秋ごろから市職員が対象地域に入る。

 市がつくる内水ハザードマップは、年度内の配布予定。

 横山泰昭・市危機管理監は「8月豪雨で教訓にしたことを生かして、行政はいかに防災情報を早く出すかを問われている」と話す。

■人手不足の災害ボランティア 市社協が養成へ■

 8月豪雨では、市内外から多くの災害ボランティアが駆けつけた。福知山市社会福祉協議会が運営するボランティアセンターが、ボランティアを活動場所まで輸送したが、運転手が市外からの応援で道に迷うケースも出た。センターの運営人員の不足を補うため、市民を対象にした「市災害ボランティアセンター市民サポーター養成講座」を開く。

 9月27日、10月25、31日の3日間で、災害ボランティアの基礎知識、センターの立ち上げ訓練などをする。

 申し込み、問い合わせは、電話(25)3211の市社協へ。


写真=中央に橋脚があって河道が狭く、流木がひっかかった篠尾新町の道路橋は架け替える
写真=早い避難や警戒につなげるため、市の防災情報の頻度が増えている

    

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