WEB両丹

きょうあったいい話、夕飯までに届けます。京都府福知山市の情報を満載した新聞社サイト

タブメニュー

両丹日日新聞2015年3月19日のニュース

卒業生にエール 庵我小の校長先生が似顔絵贈る 

贈られた似顔絵を手に喜ぶ児童 福知山市池部の庵我小学校の岸上真里校長(60)=かしの木台=は4年前の11年から、卒業する児童の似顔絵を描いて贈り続けている。今年も18日に、「困難に遭ってもくじけずに頑張って」とのメッセージとともに、似顔絵を描いた色紙を6年生一人ひとりに手渡した。

 岸上校長は1977年4月、市立小学校の教員となった。結婚し、子どもも授かり、「幸せが当たり前のように慣れてしまい、ありがたさを忘れてしまっていた」。

 しかし20年余り前、福知山市職員だった夫の稔さん(61)が脳内出血で倒れた。大手術の末、一命は取りとめたが、後遺症が残って障害を抱えての生活を送ることになった。

 岸上校長は絶望のなかでもがき続け、平常心を取り戻すには時間がかかった。2人の子どもや温かく見守ってくれる周りの人々に支えられ、今は「結構幸せ」と感じられるようになった。

 そんななかで分かったのは、「幸せは自分の心が決めること」。そんな思いと生きる勇気を卒業生に伝えたいと、4年前から似顔絵を贈る取り組みを始めた。

■一人ひとりの顔を思い浮かべながら■

 今年度は、担任の赤井暁子教諭に頼んで児童19人の顔写真を撮影してもらい、それをもとに昨年の夏休みから似顔絵描きをスタート。「あの子はとても元気にあいさつする」「とても掃除を頑張る子」「1年生に優しく縄跳びを教えていた」など、思いを巡らせながら鉛筆を走らせた。

 1枚を仕上げるのに2時間近くかかる。どの絵も片隅に、自身が好きな言葉で、NHKの東日本大震災の復興プロジェクトでキャッチフレーズにもなった「明日へ」の文字を入れている。

 色紙の裏面には児童それぞれが決めた今年の抱負である「文武両道」「勉」「笑」などの言葉や文字、そして、「自分が大好き! なかま大好き! ふるさと大好き!」という自身が目指す児童像の文章を書き入れた。

岸上校長

 18日は、岸上校長が6年生のクラスに出向いて贈呈式をした。似顔絵の色紙を一点ずつ児童に見せながら手渡し、児童たちは「よく似てる」と喜び、満面の笑みをたたえていた。

 「学校の教員研修で教わったのが似顔絵を描くきっかけになりました。どの児童の顔も、目に輝きをもたせ、笑顔にしました。卒業生から『今でも似顔絵を大切にしています』と年賀状が届くことがあります」と岸上校長は目を細める。

■今年度で定年 最後の贈呈に■

 延べ11校に勤め、38年間の教員生活を送った。岸上校長は今年度で定年退職する。つらい時、この絵を見て、励ましのメッセージを思い出して元気の源にしてほしい。そんな取り組みもこれが最後となる。「退職後も機会があれば似顔絵を描いていきたい」

写真上=贈られた似顔絵を手に喜ぶ児童。後段中央が岸上校長、左端が赤井教諭
写真下=児童への思いを話す岸上校長

    

[PR]



株式会社両丹日日新聞社 〒620-0055 京都府福知山市篠尾新町1-99 TEL0773-22-2688 FAX0773-22-3232

著作権

このホームページに使用している記事、写真、図版はすべて株式会社両丹日日新聞社、もしくは情報提供者が著作権を有しています。
全部または一部を原文もしくは加工して利用される場合は、商用、非商用の別、また媒体を問わず、必ず事前に両丹日日新聞社へご連絡下さい。

購読申込 会社案内 携帯版 お問い合わせ