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両丹日日新聞2015年1月11日のニュース

公共交通で暮らせる地域に KTR沿線自治体が10年計画

KTR「あおまつ」 第三セクター・北近畿タンゴ鉄道(KTR)の乗客数と運輸収入がピーク時の約3分の2に減り、沿線の地域戦略と一体となった公共交通網の再編が求められている。こうしたなか、沿線の福知山市など5市町と府、兵庫県は今冬、「KTR沿線地域公共交通網形成計画」を策定した。

 計画では、運行と基盤(施設、車両)保有を分ける「上下分離方式」への移行、京阪神方面からのアクセス時間の短縮などの将来像を描いている。運行事業者に決まっているウィラーアライアンス社(東京都)からの提案も加味した。

 KTRは京都府と兵庫県の北部を走り、福知山−宮津間を結ぶ新設の宮福線が1988年に開業。その後、宮福線と接続する宮津線がJRから引き継ぐ形で90年に開業。沿線人口の減少に伴って乗客は減り、ピーク時の93年度は303万人だったが、13年度は6割の187万人に減った。経常赤字も同年度は過去最多の約8億9千万円に達した。

写真=リニューアル車両として人気を集めているKTR「あおまつ」(福知山駅で)

■列車の上下分離で国庫補助アップを■

 今までは赤字分を沿線自治体が補てんしていたが、経営改善策として特例措置で基盤部分の国庫補助を増やすため、運行を民間事業者に委ね、基盤をKTRが保有する「上下分離方式」の採用を決めた。公募で昨年5月、運行事業者に高速路線バス事業などを手がけるウィラー社を選んだ。今年度内の新体制への移行をめざす。

 計画は、鉄道、バス事業者、商工観光団体、行政機関、住民代表ら22人で一昨年12月にKTR生活交通改善事業計画に関する協議会を組織し、3回にわたる会合でまとめた。

 計画期間は24年度までの約10年間。北部地域総合公共交通検討会の経営改善策についての提言を基本に、府の観光振興策「海の京都」マスタープランなどを土台にした。目標(将来像)を「公共交通だけで暮らしていける地域」「魅力的な観光圏として、国内外から多くの人が集まる地域」などとしている。
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 具体的な施策としては、上下分離方式によって経営判断のスピードアップと経営責任の明確化を図り、京阪神方面や関西国際空港からのアクセスの向上、高性能車両への更新で移動時間の短縮−などを掲げている。

 このほか、舞鶴湾に寄港する大型クルーズ船との連携▽路線バスに乗り継ぎしやすくするパターンダイヤの設定▽駅から大江山地区などへの公共交通網の再編▽老朽化が進む鉄道施設の更新▽魅力的なデザインや機能を備えたバスの整備▽アナウンス、案内板など外国人向けサービスの充実▽駅周辺でのイベントを増やし、鉄道利用促進▽公共交通の利便性が高い地域に都市機能や住居を集約▽新駅設置の検討−などを挙げた。

■5年後に年間200万人利用を目標に■

 計画の中間点となる5年後の目標指標としては、年間乗客数200万人▽京阪神方面からの始発特急利用での天橋立到着時間を、午前9時台(現在午前11時すぎ)に早める▽宮津−福知山間の普通列車の所要時間を45分(現在50分)に短縮することなどを挙げている。

 計画は12月下旬に国土交通省に提出した。さらに、上下分離方式へ事業形態を転換するため、「鉄道事業再構築実施計画」を国土交通大臣に認定申請した。


写真=KTR生活交通改善事業計画に関する協議会の第3回会合(昨年11月に宮津商工会議所で)

    

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