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両丹日日新聞2014年8月 8日のニュース

花火大会事故1年(上):苦悩の日々続く被害者

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 昨年夏の福知山花火大会屋台爆発炎上事故から15日で1年を迎える。観客3人が死亡、54人が重軽傷を負う未曽有の惨事となった。出火元の屋台店主は業務上過失致死傷罪で逮捕され、禁錮5年の刑に服しているが、これで問題が解決したわけではない。遺族や被害者は、今なお苦悩の日々を歩み続けている。事故以降、多くのイベントが中止され、地元経済も打撃を受けた。被害者対応の現状と事故がもたらした影響、再発防止への取り組みなどを見た。

■「孫の将来はどうなるのか」■

 花火の開始直前、由良川の音無瀬橋付近の会場で、事故は起きた。ベビーカステラの屋台店主が、内圧が高まっていたガソリン携行缶のふたを漫然と開けるという初歩的なミスが原因で、屋台が爆発炎上し、周囲は一面火の海と化した。

 福知山花火大会事故被害者の会副会長(72)=綾部市=は、同居する息子家族4人のうち息子の妻と孫の男児が大やけどを負った。

 「夏休みの思い出づくり」にと、10年ぶりに花火を見に出かけた息子一家。屋台近くに座っていた2人が火を浴び、とくに孫は生死の境をさまよう重篤な状況で、5度にわたる手術で一命をとりとめた。
 事故以来、恒例だった家族が集う誕生会やクリスマス会は、途絶えた。

 「退院後、懸命にリハビリを続けていますが、今も、箸や茶わんを持って食事はできない。鉛筆を握っても力が入らず、中学校に行くのも無理。多感な年ごろだけに心配でたまりません」。孫の将来を考えると胸が張り裂けそうになるという。

 主催者には、事故の全容と真相の解明を求める。「うちだけに限らず、何の罪もない人たちが犠牲になった。こんな事故が二度とあってはならない」

 通院、治療を続けている人は今なお十数人に上る。

■被害者17人と示談が成立■

 実行委員会(福知山商工会議所、市などで組織)は、被害者やその家族と話し合いを進め、示談金を支払っている。

 示談金の内容は、医療費、休業補償、慰謝料など。これまでに17人(遺族2人含む)と示談が成立し、さらに3人(遺族1人含む)と話を進めているが、まだ話し合いに移れない人も多い。

 主催者側の過失は明確になっておらず、主管する福知山商議所の梶村誠悟常務は「主催者として道義的、社会的責任はある。被害者の救済を第一に考えて取り組んでいます。示談金はあくまで火元の屋台の代払いの意味で支払っている」と説明する。

 課題となっている示談金の財源確保は、実行委が加入する花火大会事故損害賠償保険(1事故上限10億円、1人上限5千万円)が適用された場合、それを超えた金額は、市が加入する全国市長会市民総合賠償補償保険(1事故上限10億円、1人上限1億円)が適用されることになった。


写真=まもなく1年を迎える献花台が置かれた事故現場

    

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