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両丹日日新聞2014年7月18日のニュース

原生林に囲まれた森林軌道を歩く 南丹市美山町芦生 

線路のスタート地点  京都府南丹市美山町芦生の京都大学研究林に、トロッコ列車が走るための森林軌道が設けられている。かつては木材などの運搬で列車が行き来したが、今ではほとんど走る姿は見られず、ハイカーたちが軌道沿いでトレッキング(山歩き)を楽しんでいる。軌道はちゃんと残っているのか。線路が続く先まで歩いてみた。

 森林軌道は研究林事務所から由良川の源流に沿って設けられており、1927年に工事が始まり、34年には事務所から「赤崎」間にレールを敷設。2年後には「大蓬」、50年には「野田谷」まで延伸した。主に伐採した木材の搬出でトロッコを走らせていたようだ。

 起点の事務所には森林軌道の経路を示す地図の看板があり、この図を頭にたたき込み、歩き始めた。軌道の始まりの線路上には農業用とみられるエンジンを積んだトロッコが置いてあったが、しばらく動かされていないようだった。

起点周辺のトロッコ

 レールの幅は約76センチで、事務所敷地内を過ぎると、線路は右に急カーブ。すぐに由良川に架かるコンクリート橋があり、橋上を渡る。歩行者の転落防止用の手すりがついていて安全に進むことができる。

■線路そばに1軒の民家■

 山沿いに延びる線路の真ん中を歩き、最初の目的地「灰野」へ向かう。

 5分ほどで進行方向左側に農地が広がり、奥に1軒の民家が見えた。

 線路わきには郵便ポストが1つ。確かに人が住んでいるが、家はそばに由良川があるため、この軌道を通らなければ訪れることはできないようだ。

 クマ除けにと、ラジオを流しながら進む。線路の枕木は一部がコンクリート製でしっかりとしている。軌道と交差する沢には、簡素ではあるが鋼鉄製の橋桁が架けられ、真ん中に木板が敷いてあるため、歩きやすい。

■灰野には神社の鳥居と社残る■

 約2キロ進み、ようやく灰野に到着。この地は江戸時代から人が住み始め、最盛期には8軒の民家が建ち、旅人相手の宿もあった。1960年に廃村になったが、それまでは由良川最上流の集落だった。

 線路際に立つ灰野の歴史を記す看板を過ぎると、集落跡に神社の鳥居と社が残る。鳥居と祠は傷みが少ない。行く先の安全を願い手を合わせた。

 灰野から先は次第に線路が崩落の土や石で埋まったり、倒木がふさいだりした場所が多くなり、トロッコが走った形跡がない。しばらく進んだ崖ふちは、完全に線路が途切れ、仮設の歩道橋が架けられていた。

 その先の赤崎西谷では橋桁が無くなり、線路が宙ぶらりの状態に。仕方なく線路下の沢を下り、再び路盤に上がった。赤崎西谷・東谷には大伐採時代の1950年以降、引き込み線があったらしい。

赤崎西谷

■舞鶴から来た男性ハイカーと出会う■

 10分ほど歩くと小蓬に着いた。ここは広場になっていて、かつては作業所として使われていたようだ。休憩を兼ねて昼食をとっていると、1人の男性ハイカーに出会った。

 舞鶴市行永の会社員、本田能武顕さん(41)。山歩きが好きで、地元の青葉山に登っている人に、「芦生のトロッコ道はいいよ」と勧められ、初めて来たという。

 「歩きやすくて、本当に気持ちがいい。歩いている時は思わず歌を歌ってしまいました。また来たいですね」と話していた。

 本田さんに別れを告げて再び歩き始めた。目指すは刑部谷。最初の大きな谷でまた橋桁が落ちていて、線路が宙ぶらりになっていたため谷を下りた。

■土砂がたい積し立ち入り禁止に■

 小蓬から大蓬を過ぎ、約20分歩いてフタゴ谷。

 ここから2、3分歩くと、線路上に山のような土砂がたい積していて、「この先危険 立ち入り禁止」の札が掛けられていた。刑部谷まで行きたかったが、札の注意書きに従い、ここまでとした。

 事務所から約5キロ歩き、時間は約1時間50分かかった。帰りは鳥の声や由良川のせせらぎ、風の音を聞きながらゆっくりと歩いた。

 由良川の源流に近く、原生林に囲まれた大自然の中の森林軌道。トロッコが走っていた様子を想像しての散策で、心身ともにリフレッシュできる時間を過ごすことができた。

写真=線路のスタート地点からすぐに曲がった所にはしっかりとした橋が架けられ、安心して渡れる
写真=事務所敷地内の線路の起点周辺にはトロッコが置かれている
写真=赤崎西谷では橋桁が無くなり、線路が宙ぶらりの状態に

    

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