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両丹日日新聞2014年1月29日のニュース

「ジビエ」に熱い視線 農産物荒らすシカを府事業で試食

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 農林産物に深刻な被害をもたらしているシカを、「ジビエ」として有効活用していこうと、京都府は中丹ジビエ活用プロジェクトに取り組むことにし、その開始を告げるキックオフセミナーが27日に福知山市内のホテルで開かれた。講演とシカ肉を使った料理の試食があり、料飲業界や観光協会などから定員を超える約70人が参加。新たな地域資源にと意見交換した。

 中丹3市だけでも野生鳥獣による農作物被害は年間1億円から3億円近くに及ぶ。このほか被害に遭わないようにと防除柵などを張り巡らす作業は農家に大きな負担。生産意欲を削ぎ、山間部では集落の存亡にもかかわる問題となっている。

 一方で食肉として見た場合、シカなど狩猟で捕獲した野生鳥獣は高級食材の「ジビエ」として欧州で古くから愛されてきた。日本でも近年、ジビエという言葉が広まってきている。そこで、厄介者のシカを「おいしく利用」していこうと、府でメニュー提案や普及活動をしていくことになった。

 キックオフセミナーでは、夜久野町直見で農作業受託と農産加工をしている有限会社田舎暮らしの中島健太郎さんが講演。「ジビエの地域資源としての可能性」をテーマに話した。

 自身が就農以来、シカによる食害に悩まされ続けて猟による駆除を始めたいきさつから語り、昨春新たに設けたシカとイノシシの食肉加工施設について紹介。

 食肉利用に適した捕獲方法、おいしい肉にするため捕獲直後の素早い処理などを説明しつつ、「里山を守り、シカの生命をムダにしないためにも、ジビエをひろめ、地域活性化につなげたい」と意欲を語った。
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 この後、会場となったホテルロイヤルヒル福知山&スパ(土師)総料理長で著名ホテルの総料理長も務めてきた吉野国男さん、スペインのミシュラン星付きレストランで長年修業してきたバー&レストラン「ラボラトリ」(篠尾)オーナーシェフの西村純一さんが、中島さん提供のシカ肉で2品ずつを調理。来場者全員で試食をした。

 メニューは「シカ肉のパテ」「シカ肉上モモの生ハムのトスタディータ」(加熱処理済み)、「シカ肉背ロースのルスティード・丹波産カブのムース」「シカ肉のロースト」。どれも柔らかな赤身の特徴をいかした調理がされていておいしく、参加者たちは香りをかいだり、写真を撮ったりしながら食感を確かめていた。

 府は2月中に中丹広域振興局内にプロジェクトチームを立ち上げ、新年度にわたってメニュー開発や普及活動に取り組んでいくことにしている。


写真上=シカ肉の試食料理を盛りつけていく吉野さん(左)と西村さん
写真下=試食に出された「シカ肉のパテ」(右下)「シカ肉上モモの生ハムのトスタディータ」(加熱処理済み=左下)「シカ肉背ロースのルスティード・丹波産カブのムース」(右上)「シカ肉のロースト」

    

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