原野から発展、歩み半世紀 長田野工業団地

2023年01月01日 のニュース

 京都府福知山市の長田野工業団地に立地する41社でつくる一般社団法人長田野工業センター(仁張直敏理事長)が、10月で設立50周年を迎える。国内有数の内陸工業団地は半世紀を歩み、会員企業数を設立当初から2・27倍、総従業員数を7・4倍の7058人、年間製造出荷額を21・6倍の3050億円にと増やし、目覚ましく成長した。

 長田野工業団地は、福知山市街地から東へ約4キロに位置する。京都府が総合開発計画の根幹事業として、旧陸軍演習場だった広大な原野を開拓し、本格的な造成工事に着手したのが1970年。72年に一部企業が操業して73年10月に工業センターが発足、団地は74年3月に完成した。初期の操業はわずか6社ほどで、まだ原野の風景が広がっていた。

 工業団地の総面積は400・7ヘクタール。公園を含む工業用地342ヘクタールと住宅用地58・7ヘクタールからなり、住宅地には大池坂町、中坂町、長山町、平野町の4自治会が誕生。成仁小学校と日新中学校が開校し、福知山消防署東分署や民間店舗も増えて生活圏域を築いていった。

 立地第1号企業・ニンバリの名誉顧問で工業センター理事長の仁張さん(70)は原野のころの写真を見て、「今の工業団地の姿から思えば感慨深い」。

 7千人以上の就業者を有し、その8割が市内居住者となる工業団地は、福知山の経済活動に大きく寄与している。市は2018年6月に工業団地利活用増進計画を策定して支援に力を入れる。

 その一環で19、21年に、立地企業の設備拡大に伴う従業員用駐車場の確保難に対し、市と工業センターが連携して、団地内にある市ノ谷公園の未利用地で404台分の駐車場を作った。併せて公園利用者用に42台分を追加した。

 工業センターの小谷充茂専務理事(62)は「立地企業の課題解決と地域貢献もできた成果は大きい」と手応えをつかむ。市は「長田野工業団地はたくさんの雇用を作っていただいているかけがえのない大事な存在。今後も支援していきたい」と歩調を合わせる。

 

写真上=半世紀で大きく発展した長田野工業団地。六人部側から土師・市街地方向を望む。住宅や店舗も増えて新たな生活圏を生み出した
写真中=初期のころの団地。土師から六人部方向を望む。操業企業が少なく、まだ原野が広がっていた
写真下=長田野工業団地概況図

■感謝と敬意で新たな出発 仁張理事長インタビュー

 Q…工業団地操業開始から50周年の節目を迎えられることへの思いは。

 A…オイルショック、リーマンショック、東日本大震災、新型コロナウイルスと厳しい経済情勢にある中でも、ほとんどの企業が操業を継続し発展してきました。まずは会員企業のみなさんに感謝します。歴代のセンター理事、監事、行政関係者にも改めて感謝と敬意を表したい。

 Q…難局に直面しながらも成長を続けてきた要因は。

 A…区画面積が大きく、企業の基幹工場が出来たこと、高速道路のインターチェンジに近く、太平洋側にわりと多い工業団地の災害リスク分散での操業メリットもあると思います。従業員の多くが市内在住で市出身の工場長もいる。地域に根差し、愛する気持ちも原動力なのではないでしょうか。

 Q…今後の展望を。

 A…立地企業も40年を超えるところが非常に多く、建て替えや増設などの再投資が出てくると思います。今までは長田野工業団地を選んでもらえる率が高かったが、今後もそうあるために、行政機関と連携していく必要がある。50年の次は100年。地域に愛され、信頼される団地としての存在価値を高めていくための新たなスタートとして身を引き締めています。

 

写真=インタビューに答える仁張理事長

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