枯れることなく農地に水をもたらす水神「龍王さん」 住民高齢化で山裾へ遷座
2021年03月03日 のニュース
京都府福知山市三俣自治会内の平石地区は、集落奥の山中で祭られる水神「龍王さん」の遷座式を2月28日に営んだ。高齢者にとっては厳しい急斜面の山道を登った場所にあったため、参拝がしやすいようにと、ふもとにある薬師堂横に新しいほこらを用意して移した。
平石では昔から、奥山の「中の谷」と呼ばれる場所から流れてくる水を農業などで利用してきた。中の谷にある滝の横手の急斜面には、雨と水を司る「龍王」(龍神)のほこらがあり、創建年は分からないが、住民たちが年に1回参拝し、道の清掃をするなどして大切にしてきた。
地区には、雑木林の中に大蛇の通ったような痕跡が見つかり、龍が住んでいるとしてお祭りした-という話が残っている。
長年親しまれてきた場所でもあったが、台風でほこらが崩れたほか、住民の高齢化もあって山道の管理や参拝などが難しくなってきたため、場所を移すことを決めた。
遷座式は自治会(小笠原庸行自治会長)も協力。三俣地区にある生野神社の林秀俊宮司が祭主を務め、平石の住民代表と林宮司とで中の谷のほこらから、ふもとへと神様を移した。新しいほこらの前では林宮司が祝詞を上げ、集まった住民らが玉串を捧げるなどした。
平石在住の今川丈夫さん(78)は「龍王さんのおかげか、地区では水が枯れたりするようなことは一度もありません。これからもしっかりと守り続けていきたい」と話していた。
写真=これまで祭られていた山中のほこらでも神事が営まれた