サケ稚魚放流断念 由良川で採卵わずか83粒 事業46年で初めて

2025年12月11日 のニュース

 由良川サケ環境保全実行委員会(佐々木幹夫会長)は8日、毎年春に行う市民によるサケの稚魚の放流事業を中止する-と発表した。京都府福知山市内の由良川に遡上する親ザケから採れる地場卵の数が少ないうえに、全国的な不漁のあおりを受けて、これまで飼育用に新潟県から取り寄せていた移入卵の入手もできなかった。放流事業は1979年から続いていたが、初めて中止となる。

 由良川のサケ放流は、当初は府の事業として始まり、2008年度に実行委に引き継がれた。放流に必要な稚魚の飼育は、郷土愛を育み、環境保全への意識を高めることを目的に、市民が中心となって取り組み、放流も担ってきた。

 飼育のための卵は、由良川の支流・牧川などに網を設置し、捕獲した親ザケから採取。地場卵に加え、府外からの移入卵を取り寄せて確保してきた。

 今年度も牧川に網を仕掛け、43匹(雄34匹、雌9匹)を捕獲できたが、雌のほとんどが産卵したあとで、採卵数はわずか83粒にとどまった。実行委では「牧川の水量が少なく、網が設置されている場所より下流の深みで産卵したことが影響しているのでは」とみている。

 今回も新潟県上越市の生産組合に卵の提供を依頼したが、気候変動に伴う全国的な不漁の影響で「他県に卵をまわす余裕はない」と断られたという。また府から秋田、岩手両県などにも依頼してもらったが、いずれも新潟県同様に不漁の状態でかなわなかった。

 実行委は今年度の放流事業はいったん中止としたが、佐々木会長(76)は「由良川本流には、そこそこ親ザケは上がってきているので、今後は網の設置場所を変えるなどの研究を重ね、放流事業を再開できる方向性を見いだしたい」と話している。

 

写真(クリックで拡大)=牧川に設置された網で捕獲された雄の親ザケ。雌はすでに産卵を終えたものがほとんどだった(11月8日)

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