自分らしく生きぬく-看取りのお話 医師らによる劇に反響
2025年07月09日 のニュース
幅広い専門職の人たちが結集
メンバーには福祉用具専門相談員、ケアマネジャー、消防職員など幅広い職種から約20人が集まり、医師会からは西垣院長に加え、渡辺医院(牧)の渡邉正院長(56)、古木内科医院(長山町)の古木勝也院長(61)が中心になって参加した。
「死ぬんやったら自分の家の方がええわ」と言う末期がんの患者の物語で、自身の最期を前にした人の葛藤、患者の思いに寄り添う家族、在宅ケアを支援する訪問看護師やケアマネらの様子を、専門的な視点からの意見を基にリアルに描いた。一方で、重くなりすぎないようにコミカルな場面や演技も取り入れ、笑いあり、涙ありの内容にしている。最後は古木院長が率いるバンドが劇のために作ったオリジナル曲「リビング・フォー・トゥデイ」などを聞かせて、余韻を残しながら幕を閉じる。
メンバーたちは昨年8月から練習を続け、11月に三和荘、12月に桃映地域公民館で公演。好評を受け、今年2月に夜久野、5月には大江でそれぞれ追加公演をし、いずれも定員を超える応募があった。
大江公演では、涙を流しながら舞台を見つめる人の姿もあり、友人同士で市内から訪れた84歳の女性2人は「夫の介護の最中でもあり、すばらしい内容で涙がこぼれました」「両親の介護を思い出して感動しました。勉強になる話もあり、自分の子どもらに見てほしいくらいです」と絶賛した。
演じた側にも新たな気づき
主役の患者を演じた西垣院長は、実際に診てきた患者の遺族から話を聞くなどして役作りを深め、舞台に上がった。「自分が診てきた患者さんで、すごく怖い顔をされる方がいましたが、あれは病気のことが怖かったんだと思う。劇を通じて患者さんや家族への理解が深まり、もっとしっかり地域医療に向き合わないといけないと思いました」と振り返る。
かかりつけ医を演じた渡辺院長、バンドで参加した古木院長の2人は「最初に企画の話をされたとき、全くイメージが湧かず、『そんなことできるのか』と思いました」と笑いつつ、「練習や舞台を通じてほかの職場の方々との連携が生まれたり、在宅医療への気づきがあったりと、参加した自分たちが変わり、やって良かったと思いました」と話す。
3人は「多くの反響に驚きました。でも、『劇が良かった』で止まっていることも多く、そこから一歩進んで考えてもらうために、これからも取り組みを続けていくことが必要だと感じています」と声をそろえた。
キャストを入れ替え今秋に公演を予定
今年11月29日に市役所隣のハピネスふくちやまで実施が決まっている、台本は同じだがキャストを入れ替えて公演する。メンバーたちは「多くの人に見に来てもらい、在宅医療や看取りなどについて考えるきっかけにしてもらえればうれしい」と呼びかけている。
上から(クリックで拡大)
・細部にもこだわった迫真の演技でテーマを突き付ける
・練習に取り組んできたメンバー
・劇団寺子屋のメンバー
・公演を締めくくるバンド演奏