特殊詐欺から高齢者守るため 国際電話の利用休止を推進 福知山署が緊急対策
2025年05月05日 のニュース
特殊詐欺による被害が全国的に急増する中、福知山署(建井秀之署長)は詐欺被害から福知山市内の高齢者を守るための緊急対策に乗り出した。行政や民間団体などと連携し、犯行の入り口となっている国際電話の利用休止を推進。モデル地区の三和町を皮切りに、迅速に市内全域に拡大し、管内の特殊詐欺被害に歯止めをかける。
同署によると、昨年の詐欺による全国の被害総額は約3074億円で、前年の倍近くに増加。中でも国際電話を使った特殊詐欺被害が急増していて、府内の被害額は11億4700万円にのぼる。被害者の約8割が固定電話を利用しており、犯人が使う電話の約7割が国際電話だった。
国際電話は手続きさえすれば利用を停止できるため、同署ではこれまでから希望者に対して積極的に支援を行ってきた。こうした取り組みに加えて最近の被害状況を受け、「福知山まちごと国際電話使用詐欺ストップ大作戦」と銘打った新たな対策を立ち上げ、休止措置をさらに進めていくことを決めた。
モデル地区には、これまでから地域ぐるみで特殊詐欺の啓発などを行ってきた三和町を指定。高齢者との接点がある民間事業者に協力を呼びかけ、防犯教室や啓発イベントに参加できない人に注意喚起をしたり、警察との橋渡し役を担ってもらうなど、地域のネットワークを活用したきめ細かな対策を講じていく。
30日には具体的な取り組み内容などについて話し合う「地域連携会議」が同町寺尾の三和荘で開かれ、同署の生活安全課や三和、菟原駐在所に勤務する署員をはじめ、同町の地域包括支援センター職員や民生児童委員、デイサービス事業者、市社会福祉課職員など約15人が参加した。
初めに同署の橋本圭司・生活安全課長(45)による講演があり、特殊詐欺の現状や国際電話対策の重要性などが伝えられたあと、参加者同士で意見交換を行った。
福知山署は今後、三和町を皮切りに同様の取り組みを市内全域に広げていく予定で、将来的には携帯販売店や電気店などにも働きかけ、国際電話の着信を制限する設定を購入時に行ってもらうことなども検討している。
橋本課長は「特殊詐欺による被害はほぼ毎日発生しており、迅速な対応が必要とされます。府内でも福知山署が先駆けて実施する取り組みですので、地域住民の方々の声も聞きながら、一緒になってまちから詐欺被害をなくしていきたい」と話している。
福知山署は、国際電話の利用休止の手続きの支援を随時行っている。問い合わせは、電話(22)0110の同署生活安全課へ。
写真(クリックで拡大)=詐欺被害の防止に向け意見を交わした