人形劇と和楽器で新しい風を みかんの木文庫と刻ノ音が演劇フェスにジョイント出演
2025年02月21日 のニュース
京都府福知山市の人形劇サークル「みかんの木文庫」と和楽器ユニット「刻ノ音」が、京都市で22日に開幕する第46回Kyoto演劇フェスティバル(演フェス)にジョイント出演する。異なるジャンルの表現を融合させ「新しい風を吹かせたい」と張り切っている。
演フェスは京都府などが主催して、24日まで3日間にわたり、府立文化芸術会館(上京区)で開かれる。ホールでの公演のほか小会場での発表もあり、演劇や人形劇など、選抜による14の演目が組まれている。
ホールでの幕開け公演が、初日午後2時からのみかんの木文庫。会場に熱気を生み、後に続くプログラムに弾みをつける大事な役割を担う。
みかんの木文庫は、高校教師をしていた仲野恵子さん(72)が、福知山市の郊外で1989年に始めた家庭文庫がベース。図書の貸し出しや読み聞かせ活動の一つとして人形劇にも取り組み、今年で36年になる。文庫そのものは2003年に文部科学大臣賞を受けたりしているが、人形劇の世界でも評価が高い。
演フェスには35回出演し、コンクール形式だった初期には3回連続で大賞を受賞して一気に名を広めた。その後も兵庫県でのコンクールで知事賞を受けたり、国スポ(国体)の文化版・国民文化祭に3回出場するなど、着実に実績を積んできた。
今も進歩を続け、今回も意欲的な舞台にした。その一つが、和楽器ユニットとの共演。複数の和太鼓グループで活動している実力派6人で組む刻ノ音と一緒に舞台を作り上げることにした。
初めは別々に出演することになっていたが「せっかく仲良く福知山から出るのだから」と、両者の発表が途切れることなくつながる舞台構成にしようと相談するうち、「人形劇に和楽器の生演奏を組み込んだら素敵じゃない?」と盛り上がり、一気に話が進んだ。
人形劇の演目は「三つの願い」(舞台監督・高山あつ子)。山里で仲良く暮らすおじいさんと、おばあさん、龍になるため千年の修行を積むへびの物語で、広いステージの奥行きを生かして人形たちが生きいきと動き回る。
後半の盛り上がり場面では刻ノ音の石原靖之さん(54)=福知山御霊太鼓保存会会長=がドラや太鼓をたたいて、舞台に音で厚みを加える。ラストの龍が天に昇っていく場面では、刻ノ音の飯田浩正代表(53)が横笛の龍笛を響かせ、印象深く物語を締める。
「風景をかもし出す演奏をしたい」と意気込む石原さんたち。効果音や劇中曲をシンセサイザーで演奏する仲野さんは「打ち合わせの時から楽しく、わくわくしてきましたが、刻ノ音さんに加わってもらうことで迫力が増しました」と喜ぶ。
人形劇の余韻を引き継ぎながらステージは和楽器演奏へとスムーズに転換していき、やがて力強い太鼓の響きで会場を沸かせていく-との計画。和太鼓演奏にはゲストとして、国内外で活躍するプロのジャグラー酒田しんごさんが参加。両グループは「ぜひ福知山からも見に行っていただけたら」と話している。
写真(クリックで拡大)=合同練習に参加したメンバーたち(15日にかしの木台ホールで)