放火で焼失から1年半、集まった寄付で社殿建設へ 土師の愛宕神社

2025年01月27日 のニュース

 2023年6月の放火によって社殿などが焼失した京都府福知山市土師の愛宕神社。その再興をめざし、総代らでつくる愛宕神社再建委員会(土手隆晴委員長)は、これまでに集まった寄付金で実現可能な社殿の建設に踏み切る。現在は工事業者を決定し、建設に伴う課題の解決に向け、関係各所との調整を進めている。

 火除けの守護神として信仰を集める同神社は、京都・山城の愛宕神社の分霊を祭って410年余り。明治からは地元の前田、土師両地区の住民たちが管理を続け、毎年、春と夏に無火災を祈願する大祭を営んできた。

 しかし、放火で本殿、拝殿、幣殿などが焼失。途方に暮れた住民たちだったが、先人が守り続けてきた神社の歴史を絶対に途絶えさせない―と、再建委員会を立ち上げ、大祭の継続、再建への寄付を呼びかけてきた。昨年6月にはインターネット上で資金を募るクラウドファンディングも実施し、全国から多くの浄財や応援メッセージが寄せられた。

 寄付金は24日時点で約2600万円が集まっており、同委員会は昨年12月に開いた会合で、これまでに集まった資金で建設可能な規模の社殿を再建することを決めた。

 建てる場所は従来の社殿があった場所を想定。工事業者は決定しているが、建築基準法や工事方法など、解決すべき課題は多くあるという。

 土手委員長(75)は「焼失から1年半が経ちましたが、多くの方々の協力のおかげで、ようやく再建に踏み切るところまでこられました。ひとまず大筋の方向性が決まったという段階であり、今後の課題も多くありますが、一歩一歩、確実に前進していきたい」と意気込む。

神籬を立てて神事 一年の無火災祈る

 23、24両日は、春の大祭があり、焼失した社殿の代わりに神を招き降ろす神籬を立て神事を営んだ。多くの参拝者が一年の無火災を願って祈りを捧げたほか、総代らが神社再興に向け決意を新たにした。

 本宮の24日には祭礼があり、同神社総代や両地区の代表者が出席。吉田明弘宮司が、地域が火災から守られるようにと願う祝詞を上げ、出席者が玉串を捧げた。

 土師地区総代で同委員会副委員長の出口正道さん(70)は「社殿が無いにもかかわらず、たくさんの人にお参りいただき、改めて多くの方々の信仰を集めている神社だと認識しました。再興を望まれている人たちの思いも背負い、必ず再建を成し遂げたい」と思いを語った。

 同委員会は、引き続き寄付の協力を呼びかけている。

 問い合わせは事務局の田淵さん、携帯電話090・9625・2283まで。

 
写真(クリックで拡大)=祭礼で無火災を祈願し再興への決意を新たにする総代ら(24日)
写真(クリックで拡大)=放火によって燃える社殿(2023年6月15日)

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