最後に打つのは「小面」 猩々、小牛尉、 狂言面など趣味で能面を作りを続ける94歳の大志万さん

2025年01月16日 のニュース

 京都府福知山市南本堀の大志万禮二さん(94)は、これまで約130点の面を打ってきた。プロの能面師ではないが、今もしっかりと彫刻刀を握り、木に魂を込める。

 高校時代の同級生だった能面師、堀安右衞門さんの作品展を見に行った時、その素晴らしさに感銘を受けた。「自分もやってみたい」と思い、京都市内で堀さんが開いた教室に3カ月間通い、技術を磨いた。

 退職後の58歳の頃、京都市内の京都面美会に入り、本格的に面打ちに取り組み始めた。

 最初に打った面は代表的な女面の「小面」。面打ちの修業は「小面に始まり、小面に終わる」と言われるほど、よく知られた面で、取っ付きやすいが、奥が深い。

 面打ちは自宅の作業部屋で行う。約100本ある彫刻刀を使い分け、無心になって彫る。木彫りから彩色まで、全てをこなす。

 一つの面を仕上げるのに半月ほどかけるが、三つの面を同時進行で打ったことも。「前のめりになって、ついつい時間を忘れて夢中になることがあります」と笑う。

 小面のほか、男面の「猩々」や男性老人面の「小牛尉」、鬼神面の「雷電」、狂言面、舞楽面なども手掛ける。最近では金魚やキノコなど、可愛い木彫りの小物も作る。

 60代半ばごろから自宅で教室を始めて後進を育成。今も通う2人にアドバイスをする。体は至って健康。「ストレスがたまることはない。彫刻刀を持つと、さらに気分が良くなります」

 能面の出来に納得したことは、いまだない。最初に打った小面を大事に保管し、新たな面を打つ際は、初心に帰るために見返している。

 「まだもう少し彫ってみたい」。最後に打つのは小面と決めている。技を磨き、自他ともに認める逸品を作りたいと願う。


写真(クリックで拡大)=彫刻刀を持ち、面打ちに励む大志万さん

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