新文化ホールの住民投票条例案を否決 臨時市議会

2024年05月11日 のニュース

 京都府福知山市の市議会臨時会本会議が10日再開。「新文化ホール整備事業に関する住民投票条例の制定案」は賛成8人、反対14人で否決した。関連議案も含め、多くの議員がそれぞれの意見を述べた。

 市は昨年7月、新文化ホール整備の方針などを示した基本計画を策定したが、一部の市民から反対の声が上がった。さらに、市民団体が「計画の見直しへの賛否を問う住民投票」を求め有効数7700人分の署名を持って、今年4月に住民投票条例の制定を求める請求書を市へ提出。要件を満たしていることから、市は自治基本条例に従い条例制定案を市議会臨時会に提案していた。

 条例案は大橋一夫市長が意見書を付して提案。市はこれに先駆けて基本計画の再検討に踏み切っており、大橋市長は提案時に「市民の思いを真摯(しんし)に受け止めるが、住民投票に実益はないと考える」と意見を述べていた。

 本会議の討論で、条例案に賛成の立場の議員は「市の再検討も委員会形式だが、今までと同じやり方では結局、同じ結果になる」「市は見直しをゼロベースの議論でないとしており、信用できない」「市民からの条例請求は議会への不信感の表れでもある。市民の意思表示の場を奪えば、信頼を回復することは難しくなる」と訴えた。

 反対の立場の議員は「市長の『実益はない』という発言は承服できないが、これまでの市の答弁では、新たな土地取得、公民連携手法を視野に入れた再検討にも言及されており、再検討はこれまでの繰り返しとはならないと感じた。進捗状況を注視し、最もふさわしい新文化ホール整備にしていくことが最良と考える」「今、住民投票をしても計画に賛成か反対かを問うのみになる。見直し方の仕組みの整備が大切で、6月議会で特別委員会の設置を求めて最良の努力をしていきたい」などと語った。

 臨時議会ではほかに、国による住民税非課税世帯への特別給付金事業、新文化ホール計画再検討事業などを含む総額9億647万8千円の今年度一般会計補正予算案、市議会議員補欠選挙費に財政調整基金を繰り入れる案など4議案を可決し、閉会した。

 

写真(クリックで拡大)=建て替えて新文化ホールにと計画されている厚生会館

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