4月は仮クラス、授業は45分で区切らず 昭和小が「小1プロブレム」対策
2024年05月07日 のニュース
京都府福知山市北本町一区の昭和小学校(葦原宏校長)は、5歳児から1年生までの「架け橋期」の学びの円滑な接続を図るため、独自のカリキュラムを導入している。1年生124人は、より良いクラス分けを考えるため、当初は仮クラスで過ごす。コの字に並べられた机で友だちと向かい合って授業を受け、学校探索をしながら楽しく伸びのびと学びを深めている。
静かに授業を聞けない、集団行動をとれない-。小学1年生が入学後、これまでと全く違う学校生活になじめず陥る「小1プロブレム(問題)」。その解消に向け、昭和小は府教育委員会から「幼児教育と小学校教育の接続期カリキュラムコンサルテーション事業」の研究校に、昨年度と今年度の2年間指定され、隣にある昭和幼稚園で幼児教育の実態を学び、1年を費やして架け橋期の学習プログラムを考案してきた。
今までは入学直後から1単位45分間の教科学習をしてきたが、今年度に取り組む新たなカリキュラムでは、授業時間を45分間で一律に区切らず、学習内容によって柔軟な時間設定をしている。
また幼児教育の生活サイクルの中に教科学習を取り入れる形とし、みんなで歌を歌ったり、先生の読み聞かせを聞いたりする「あんしんタイム」▽生活科の学校探検をしながら文字を探す(国語科)、教材の数を数える(算数科)など、合科的に学習する「わくわくタイム」▽従来通りに教科学習する「きらきらタイム」に分けている。
生活に慣れるまではあんしんタイムを多くし、徐々にきらきらタイムを増やし、従来の教科学習に移行していくという。
カリキュラム以外にも全体的にゆるやかなスタートを意識していて、現在は仮のクラス分けで学習。4月中の児童の学校での様子を考慮して、5月の連休明けから、それぞれがより学びやすい正式なクラスで活動する。
ほかにも、教室の机をコの字型に配置することで、先生の目が全員に届きやすくした。机がない教室中央の空間は休み時間に使える多目的スペースとした。友だち同士で自然と交流できる場所になっている。廊下には自由に描き込めるお絵描きスペースなどを設けている。
5月1日のわくわくタイムでは、グラウンドや昭和幼稚園を探検。児童たちは鳥や花、虫などを見つけ、笑顔で取り組んでいた。
教務主任の西村聖教諭は「今までは『どうやって席に座らせるか』を考えていましたが、学校探検で子どもたちの学習意欲が高まり、自発的に座って、集中して学習してくれています」と成果を実感している。
葦原校長は「子どもたちの『頑張りたい』『学びたい』という意欲が自然と引き出せていて、教員自身も視野が広がり、スキルアップにつながっている。まだチャレンジ段階ですが、発達段階に合った学びができていると思います。取り組みが子どもたちの『明日も学校に来たい』という気持ちにつながれば」と話している。
写真(クリックで拡大)
・友だちと向き合いながら授業を受ける
・グラウンドを探検する1年生