増える「隠れ介護者」ビジネスケアラー 市がセミナー

2023年12月23日 のニュース

 エース社員や将来を嘱望される社員が突然、介護離職でいなくなったらあなたの会社はどうしますか? こういうことが現実問題として起こっていることを多くのみなさんに知ってほしい-働きながら介護をする「ビジネスケアラー」について学ぶ京都府福知山市主催のセミナーがこのほど、駅前町の市民交流プラザであった。

 問題に詳しい立命館大学産業社会学部の津止正敏教授が、増え続けるビジネスケアラーの実態に迫り、社会全体で支えていく必要性を訴えて、介護関連制度の改善や国民的な理解促進を呼びかけた。

 母親の介護経験があり、男性介護者の支援活動をしている津止教授は、増加の一途をたどるビジネスケアラーを支援していくことの重要性を説く。

 2030年にはビジネスケアラーが家族介護者全体のうち4割にあたる318万人に達し、このことに伴う労働生産性の低下などによる経済損失額が9兆円に上るとして、国が対策に乗り出している。ただ、「仕事と介護の両立をうたいつつも、労働政策と介護政策の向いている方向が違うことで、ビジネスケアラーの支援にまでは至っていないのが現状」と津止教授は指摘する。

 要介護度や同居家族の有無などの条件で、受けられるサービスが限定される。「要介護3以上でないと特別養護老人ホームは入れないが、認知症で徘徊もしているのに要介護2の家族を介護しているビジネスケアラー」などを例に、介護する側も包括する支援策が求められているとした。

 まずは関心を持つことが第一歩と津止教授。これまでの支援活動の経験などから、ビジネスケアラーであることを勤務先の企業に打ち明けられない「隠れ介護者」の把握を自社課題として取り組むことを企業に求め、企業側からも声を挙げて、介護保険制度や介護休業制度がより良いものとなっていくことに期待を寄せた。

 

写真(クリックで拡大)=ビジネスケアラー支援について語る津止教授

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