甲子園ボウルへあと1勝 関学アメフト部、大槻直人選手

2023年11月30日 のニュース

 大学のアメリカンフットボール界をけん引する関西学院大学体育会アメフト部FIGHTERS(ファイターズ)=兵庫県西宮市=で、京都府福知山市出身の4回生、大槻直人選手(21)が活躍している。身長は170センチと高くないが、体重100キロのパワーを生かし、宿敵・立命館大戦ではタッチダウンを決めるなど勝利に貢献し、強豪ひしめく秋の関西学生1部リーグ戦を突破した。チームは甲子園ボウル(全日本大学選手権決勝戦)出場へあと1勝。前人未到の6連覇に向けて突き進む。

 大槻選手は庵我小学校2年生のときに野球を始め、桃映中学校を経て、夏の甲子園出場をめざして京都共栄学園高校に進学。3年生の夏には中心メンバーとして、京都大会4強入りを果たした。その後、進路に迷っていたところ、当時の神前俊彦監督から「次は冬の甲子園ボウルをめざせ」と勧められ、関学大に入学した。

 1941年に創部した関学アメフト部は、大学屈指の強豪校で学生日本一を決める甲子園ボウルではこれまでに計33回優勝していて、2018年からは5連覇中。部員は200人を超える。アメフトはタックルなどを多用するため、体ごと相手とぶつかり合う。大槻選手も入部当初、「見たこともない大きな体の先輩ばかりで圧倒された」という。

 ベンチプレスなどのウェートトレーニングで筋力強化を図ったほか、食事面も気にかけ、一日6食で体重は80キロからグングン増量。防具を付けた実践練習を重ね、ディフェンスの要とされるラインバッカー(LB)として、2回生の秋から1軍の試合で選手登録されるようになり、3回生の春には全試合に出場した。

■3回生の秋に病気判明し離脱■

 個人として初めての甲子園ボウル出場が見えてきた矢先、病魔に襲われた。3回生の夏ごろから動悸やめまいなどを感じるようになり、食事ものどを通らず体重が激減。140キロを上げていたベンチプレスは、半分もできなくなった。

 甲状腺ホルモンが過剰に作られる「バセドウ病」だった。昨年9月上旬にドクターストップがかかり、自宅療養に専念。薬を服用したが10月上旬に通院したときにはさらに悪化していた。次の治療法として、担当医師から2択を迫られた。

 「部活復帰できるか不透明だが、リスクの少ない放射線治療」か「リスクはあるが部活復帰をめざす手術」。「アメフトを辞めたくない。続けるほうが人生のメリットになる」と手術を決断。10月下旬に、無事成功した。

■オフェンスへ転向して飛躍■

 今年の年明けから本格的に復帰。ベンチプレスは170キロと自己記録を更新するなどコンディションも復調し、4回生の春を迎えた。選手登録はされるものの、出場機会はなく悔しい思いをしたが、6月にコーチから、激しいタックルにも負けないタフさが要求されるオフェンスのランニングバック(RB)へのポジション転向を提案された。

 その5日後の交流戦(JV戦)で、さっそく本領発揮し、3タッチダウンを決めた。これまで思うような結果が出ず苦しい状況だったが、相手をパワーで圧倒。「ここは自分のフィジカルを生かせるポジションだ」と自信をつけた。夏の合宿から1軍に定着。9月からの秋の関西学生1部リーグ戦では、全7試合に出場した。

■立命館戦でタッチダウン■

 大一番を迎えた11月11日の立命館大戦では、残り7ヤードの位置からボールを受けて、持ち前のパワーで押し込みタッチダウンを決めるなど勝利に貢献。その後、チームは関西代表として全日本大学選手権大会の出場権を獲得した。

 次戦は全日本大学選手権の準決勝。12月3日に福岡県春日市の春日公園球技場で九州代表の九州大学と対戦する。勝てば、17日に兵庫県西宮市の阪神甲子園球場で行われる甲子園ボウルへの出場が決まり、大学日本一をかけて東日本代表校と対戦する。

 大槻選手は「『ゴール前のここ一番という場面のショートヤードなら大槻だ』と任せてもらえるようになった。自分たちはずっと日本一だけをめざして寒い日も暑い日も練習してきた。神前・前監督や当時の共栄高校野球部のメンバー、家族ら多くの人に支えてもらったので、結果で恩返ししたい」と意気込む。

 

写真(クリックで拡大)上から
・立命館大戦でタッチダウンを決めガッツポーズの大槻選手(90番)=提供・関学スポーツ編集部
・大槻選手(中央)を囲む応援に駆け付けた共栄高校野球部の神前・前監督(右から2人目)ら

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