「仏教は心のちりを払う」 仏教講演会で紀三井寺貫主

2023年07月06日 のニュース

 和歌山県和歌山市の救世観音宗総本山紀三井寺貫主、前田泰道師を講師に招いての「第53回仏教文化大講演会」がこのほど、京都府福知山市中ノの市厚生会館大ホールであった。演題を「あっ、そうか!と納得する教え、それが仏教」とし、仏教の誕生から用語の成り立ちなどを分かりやすく聴衆に伝えた。

 前田師は和歌山県文化賞選考委員などを歴任し、現在は県仏教会の会長を務める。

 講演では「仏教とは心のちり、心のあかを払うこと。自分が愚かだと知る者ほど真理に近づく」と説き、釈迦の代表的な弟子、十六羅漢にも選ばれた周利槃特(しゅりはんどく)のエピソードを紹介した。

 周利槃特は物覚えがとても悪く、経なども全く覚えられなかった。ある日、釈迦から毎日掃除だけを心を込めてするよう指示を受ける。言いつけを守って掃除をする中で、汚れは「あると思っているところばかりにある」のではなく、思わぬところにもあるということに気付く。「自分は愚かだと分かっていたけれど、意識していないところに、どれだけ愚かなところがあるか」に気付いた周利槃特は悟りを開いた。

 前田師はこの話に仏教の本質があると話す。仏教には様々な教えがあるが、一つひとつが心の汚れを払うことにつながる。自分が愚かだということを知って取り組める人が、心を磨き真理に近づける、と語りかけた。

 最後に、福知山市の仏教講演会のあり方は全国的にみても珍しいとも話した。

 仏教には多くの宗派が存在するため、講演などでは配慮の上、仏教に関する直接的な演題を設けない。もしくは主催者側から指示があることが多いという。しかし今回の講演では自由に話させてもらったと言い、「福知山のみなさんの、宗旨の壁を越えて仏教を深く知りたいという思いを感じました。少しでもお役に立てたらうれしい」と締めくくった。

 講演会には約400人が来場した。

 

写真(クリックで拡大)=仏教について説く前田師

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