獣害で花数10分の1に 夜久野町「水仙の里」
2023年04月22日 のニュース

京都府福知山市夜久野町金尾自治会の山間にある景勝地「水仙の里」が、ここ数年、イノシシやシカの獣害被害に悩まされている。ピークの年には、約2万5千株が咲き誇り、訪れる人たちの心を和ませたが、今シーズンに開花したのは10分の1の2500株に満たず、「何とか対策を講じて花見のスポットとして復活させたい」と栽培農家は語る。
スイセンは、過疎、高齢化が深刻ななか、地域の活性化につなげたいと2011年、地元の村田義昭さん(71)と湯口修さん(78)が中心になって棚田10枚、計約2・7ヘクタールで栽培を始めた。
株数を年々増やして黄色や白色の花が一面を覆い尽くすほどに広がったが、4、5年前からイノシシが球根を掘り起こし、さらにシカによる花などの食害で、手に負えない状態になった。
山間のため気温が低く、日照時間が短いため、市街地より生育が遅い。今年は3月下旬から黄色の花から開花を始め、今がピークで白色の花を中心に咲いている。以前から市内外からカメラを手に撮影に訪れる人が多く、新型コロナウイルス感染症の拡大以降も花見に来る人がいるが、「随分花が減りましたね」と、残念がって帰る人が多いという。
村田さんと湯口さんは「植栽地の周りには獣害防止にワイヤーメッシュの柵と海苔網で二重に囲んでいるが、それでもイノシシやシカは隙間を見つけて侵入する。毒性成分があるのでシカは食べないと思っていたが、想定外だった。集落から少し離れた場所にあって頻繁に通うことができず、監視の目が行き届かない」と嘆く。
今後については「まず、分散して咲いているスイセンを一カ所に集約し、我慢比べではないが、根気強く球根を植え続けて植栽地を元に戻していきたい。地域の景勝地として体の続く限り守り続けたい」と話している。
写真=山間の緑に映える白色のスイセン