孫と植えたロウバイ 27年でやっと開花
2023年01月31日 のニュース
京都府福知山市牧、中井靖子さん(84)が自宅から少し離れた畑に植えて、27年間一度も咲かなかったロウバイが、今冬、開花した。中井さんにとって、孫と一緒に植えた思い出の木。甘い香りを漂わせる満開の黄色い花が、大雪に負けずに咲き誇る。
ロウバイは、27年前に猪崎の三段池公園であった緑化まつりで、当時3歳の孫が、祖母の中井さんと植えるために持ち帰った。小さな苗。「大きくなるといいね」と、2人で畑の一角に植えた。
願い通り木は枝を広げて大きく育ち、高さが3メートルほどにもなった。ところが、開花期の冬を何度越しても、花は咲かない。
「もう諦めようかな」。木を切る決意をして迎えた昨年の暮れ、ついにつぼみが付いた。しかも、たくさん。それからは毎朝晩見守り、満開を迎えると、近所の人にも喜びを知らせて回った。
市都市緑化植物園の芦田修司園長は「ロウバイは土壌の状態が良すぎると、葉を茂げらせ大きく成長するんですが、それで満足してしまって花は咲かないことがあります。他にも理由の想定はあるのですが、なぜ今回咲いたのかは謎です。切られる運命を悟り、木が頑張ったのかもしれませんね」と話す。
中井さんは「今まで一度も咲かなかったので、びっくりだけど、すごくうれしい。孫も大人になって社会人として頑張っています。そう思うと植えたあの日が懐かしい」と目を細めた。
写真=雪にも負けず咲き誇るロウバイ