認知症の人の家族会が三和で毎月会合 悩みを分かち共感しあう
2023年01月13日 のニュース
「毎日同じ会話の繰り返しでしんどい」「それわかる」。福知山市内で認知症の人を支える家族たちでつくる「認知症の人の家族の会」(小林英夫代表)は、毎月第2火曜日に集まり、日ごろの思いを語り合う。秘密厳守で飛び入りもOK。ざっくばらんな会話でそれぞれの悩みを分かち、共感し、励まし合っている。

認知症は、後天的な脳の障害によって、認知機能が持続的に低下していき、「物を覚えられない」「今までできていたことができなくなる」といった日常生活や社会生活に支障をきたすようになる状態をいう。高齢化により患う人の割合が増え、2025年には65歳以上の約2割(約700万人)が認知症になるとの厚生労働省の推計データもある。
家族の会は、認知症の妻を介護して現在17年目になる三和町大原の小林代表(89)が呼びかけ人になり、市三和地域包括支援センターや町内の2居宅介護支援事業所の協力を得て昨年5月に発足した。月1回の会合を同町千束の市役所三和支所内東部保健福祉センターの一室で行っている。
当初は三和地域の人だけだったが、回を重ねて旧市域や市外からの参加もある。それでも、毎回家族の参加者は片手で数えられる程度で、「同じような悩みを持っている人がもっといるはず。会の存在を知ってほしい」と小林代表は話す。
10日は7回目で今年初めての会合があり、家族4人、市などの支援者3人が1時間半ほど語り合った。
認知症は、認知機能の低下による症状のほか、怒りっぽく攻撃的になったりもする。妻を介護する男性は「同じ話の繰り返しで、こっちも頭にきて怒鳴ってしまう」と語ると、小林代表が「最初のころは私も頭に来すぎて裏山に行って大声で叫んだ」と笑って応え、他の家族も「そうなるよね」と相づちを打った。
明るい意見も出た。「クラシックコンサートに連れて行ったら感激してくれた。私もうれしかった」。「年に2、3回会いに来てくれる人がいる。同じ会話の繰り返しで迷惑をかけているけれど、(認知症の)本人はうれしそうだ」
会のルールは、第一に秘密厳守。途中参加・退場は自由。批判はせず、言いたくないことは言わなくて良い。
三和地域包括支援センターの保健師・畑中めぐみさんは「会合は最初はセンターが司会をしていたんですが、今は参加者のみなさんが自由に発言できるようにお任せしています」と見守る。
会合参加者は「気が楽になった」「自分だけじゃないと分かって安心した」と口をそろえる。小林代表は「私はずっと一人で抱え込んでいて倒れそうになった。家族会にすごく助けられています。同じような悩みを持っている方に、ぜひとも来てほしい」と話す。
次回は2月14日午前10時30分から正午まで。参加無料。申し込み不要。問い合わせは同センター、電話(58)3010へ。
写真=認知症の人の家族らがざっくばらんに話し合っている(正面は小林会長。撮影時のみマスクを外した)