落語の新人登竜門で81歳が奨励賞 岩井の足立さん
2022年10月27日 のニュース

兵庫県尼崎市で開かれた「第23回新人お笑い尼崎大賞」(実行委員会主催)の落語部門で、京都府福知山市岩井のアマチュア落語家、楽し家うれ志さん(81)=本名・足立隆夫=が奨励賞を受けた。足立さんがコンテストで入賞するのは初めて。福知山の落語関係者も「市内の落語文化の振興につながる」と喜んでいる。
尼崎大賞は、お笑いを目指す新人の登竜門で、「漫才・コント等」と「落語」の両部があり、落語の部には31人が応募。予選会の映像審査を通過した6人が本選会に進んだ。
本選会は10月2日、尼崎市総合文化センターで開かれた。足立さんの演目は「強情灸」。長屋の強情張りが大きなお灸を自らすえて、やせ我慢するという古典で、足立さんは、江戸落語特有の「べらんめえ口調」で威勢よくしゃべった。
審査の結果、大賞は男子大学生で、2位相当の優秀賞は男子高校生。最年長の足立さんは3位に当たる奨励賞を獲得した。
若いころからラジオで落語家、三代目古今亭志ん朝さんの噺(はなし)を聞くのが好きで、20代半ばから独学で江戸落語を覚え始めた。
その後、会社の宴会芸として落語を披露していたが、60歳になって、しっかり基礎から学ぼうと、落語教室に通い笑福亭松枝さんから教わり、64歳からは林家染雀さんの下で習い始めた。
今も月2回、電車で大阪の染雀さんの所に行き指導を受けている。これまで社会人落語日本一決定戦に10回ほど挑戦し、予選を5、6回通過している。
今回の奨励賞受賞について足立さんは「細かいミスはあったかもしれませんが、やっていてお客さんに受けているかいないかがよく分かりました。まさか受賞するとは思ってもみませんでした」と驚く。
福知山在住の落語家、桂三扇さんらが出演する落語会「ふくち寄席」の世話人もしている。三扇さんは「楽し家さんは高齢ではありますが、滑らかな口調でテンポ良い落語をされます。今回の奨励賞受賞は福知山での落語の振興につながります」と期待。足立さんも「もっと落語を聞きたい、やってみたいという人が増えることを願っています。今後も楽しく落語を続けていきたい」と話している。
写真=「第23回新人お笑い尼崎大賞」の本選会で落語を披露する足立さん