防災活動きっかけに京大院生が荒木へ移住 地域に溶け込む
2022年08月22日 のニュース

京都大学大学院情報学研究科の修士課程2年生、鈴木舜平さん(24)が、7月下旬に京都府福知山市へ移住した。いま荒木の公会堂で、子どもたちに勉強を教えている。京大防災研究所の一員で、荒木地区の自主防災活動に関わったことが移住のきっかけ。地域との交流を深めようと荒木自治会(井上良延会長)の活動にも参加している。
地区内3割の民家が土砂災害警戒区域になっている荒木自治会は、2017年に自主防災組織を結成し、市の避難のあり方検討会で座長を務めた同研究所の矢守克也教授の助言を受けながら、防災マニュアルの更新などをしている。
鈴木さんは矢守教授の研究室におり、災害時の対応などを行政、市民らみんなで話し合う「リスクコミュニケーション」について研究をしている。荒木にも何度か足を運び、フィールドワーク、インタビュー調査などを実践する中で、住民から移住を誘われ、「思い切って外に出てみよう」と決めた。
「研究に協力してくれる地域のために何かをし、研究以外でも地域とつながりたい」と、8月から、土曜、日曜、祝日を除く午前9時から午後5時まで、子どもの勉強を見守る塾を開いている。今は、地区内の小学2年生から中学3年までの6人が、夏休みの宿題を持って参加する。
勉強を教わっている高根葉月さん(福高附属中3年)、朔太郎君(桃映中1年)、一葉さん(大正小2年)の姉弟3人は「学校が休みだけど、分からないところが聞けて良かった。フレンドリーで話しやすい」「親切で勉強のことが聞きやすい」「わかりやすくて楽しい」と笑顔を見せる。
鈴木さんはリスクコミュニケーションの研究をしながら、地域の草刈りや子ども会の活動にも参加する。「地域に温かく受け入れてもらえてうれしい。研究で成果を出す以外でも、自分にできることをしたいです」と話している。
井上自治会長は「移住してくれてとても心強いです」と歓迎している。
塾では地区以外の子どもの参加も、月額1千円で受け入れている。
写真=勉強を教える鈴木さん