日本の文化守る丹波漆 夜久野で採取が本格化
2022年07月14日 のニュース

良質の漆の産地、京都府福知山市夜久野町で、漆を採取する「漆掻き」が今年も本格化してきた。府無形民俗文化財「丹波の漆掻き」の技術を守り伝えているNPO法人丹波漆の会員たちが朝早くから山へ分け入り、漆の木から専用道具で漆1滴ずつを丁寧に集めている。
漆器や美術品のほか、神社仏閣などの文化財修繕には国産漆が欠かせないが、産地は全国でも少なく、夜久野は貴重な場所になっている。
採取しているのは今年は3カ所、計13本の木で、額田の山では丹波漆の高橋治子理事長と齊藤善之さんが1本ずつ担当。ともに25年以上の立派な木で、6月9日に、今シーズン最初の刃をあてる初鎌を迎え、以後、4日ごとに作業を重ねてきた。
漆の木の樹皮を鎌で削り、専用のかんなで傷を入れていく。最初は小さく。順に傷を長くしていき、傷から出てくる液をヘラで掻き取るようにして集める。
初めの時期は粘りの強い乳液のような漆が出て、回数を重ねるごとに粘りが弱まり、漆成分の濃い液となり、にじみ出てくる量が増える。
3年目となる移住者の齊藤さんは「この木ならベテランは1リットル採取できるといいますが、私はまだ作業効率や掻き取るタイミングが悪くて、400cc集められたら、といったところでしょうか」と話しながら精を出し、高橋理事長は「たくさん採取できるよう、漆の木を植栽して増やす取り組みも進めています。獣害もあって大変ですが、みんなで伝統文化を守っていきたいです」と熱心に話していた。
作業は9月中旬まで続く。
写真=漆掻きをする高橋理事長と齊藤さん(奥側)