愛情受け卵が次々ふ化 福知山など250カ所でサケを飼育
2022年02月06日 のニュース

福知山など京都府北部4市を中心に約250個人・団体が、由良川の環境保全のシンボル・サケを、愛情を込めて育てている。卵から飼育を始めて1カ月近く。例年になく厳しい寒さが続き、全体的に成長は遅れているが、すでにふ化して赤ちゃんの段階の仔魚(しぎょ)になっているものが多いという。3月に放流予定。
この取り組みは、「由良川サケ環境保全実行委員会」が2008年度から協力者を募って続けている。サケは生まれた古里の川に産卵のために回帰する習性があり、育てたサケの稚魚を由良川に放流して遡上させることで、郷土愛を育み、環境意識を高めてほしいとの思いがある。
1月5日から、卵の中に黒い目が見える「発眼卵」約5万粒を協力者に配布。各家庭や学校、公民館などが、それぞれ直射日光が当たらない場所に置いた水槽の中に入れ、小さな命が生まれる様子を静かに見守っている。
新型コロナ禍のもと、福知山市内での放流イベントの開催は未定。
■「成長過程見て」と市児童科学館■
猪崎の市三段池公園内の市児童科学館は、1階の福知山広場に水槽を置き、200粒のサケの卵を入れ、由良川の淡水を定期的に入れ替えながら育てている。
1月22日にふ化を確認し、今は体長2センチ前後の仔魚が、水槽底の敷石上に群がるように集まって動いている。腹についた朱色の袋「さいのう」に入った栄養分を吸収しながら日々成長しているが、袋がなくなり、スマートな姿になって泳ぎ出すと餌を与え始めるという。
桐村嘉郎館長は「骨格やヒレの形が整って稚魚へと成長する過程をぜひ見に来てください」と話している。
写真=ふ化して水槽底に群がるサケの仔魚