駅の公園でスケボーに苦情、条例では禁止 「五輪種目楽しむ場を」の声も
2021年11月24日 のニュース
東京五輪正式種目で人気が高まっている「スケートボード(以下、スケボー)」。その一方で、禁止されている公園での利用などの問題が起きている。福知山市内でも同じ状況が見受けられるが、愛好者の若者らからは「やる場所がない」との声も聞く。福知山のスケボー事情を取材した。
「禁止されている福知山駅南北の公園でスケボーをする集団がいる。マナーも悪い」。駅周辺に住む読者から、両丹日日新聞社に電話が入った。
現地に行くと、市役所名で「スケボー禁止」の看板があるが、パイルコーンを設置してジャンプなどのトリック技の練習をするスケーターの姿があった。
前出の読者はいう。「全員がそうではないと思うが、ごみの放置や喫煙する姿もあって印象は良くない」
看板を設置した福知山市都市・交通課に話を聞いた。駅南北公園は、歩行者らが使いやすいように地面はコンクリート平板で段差がない。そのため、スケボーをしやすい環境ではある。ただし、市都市公園条例で「公園利用、管理に支障が及ぶ行為」に該当するとして“スケボーは禁止”との判断を下す。
五輪で注目度が増す昨年から、「公園を独占している」「騒音がうるさい」「小さい子どもが歩く道では危ない」など、スケボーに関する苦情が増えた。猪崎の三段池公園で市が整備したテニスコートでは、観覧席の段差ブロックにトリック用ワックスを塗ったまま放置されていた事案も発生。市は駅南北公園とテニスコート周辺にスケボー禁止の看板を立てた。
■スケートパーク設ける市も■
市内でスケボーを楽しめる機会をと、民間事業者が周辺部で有料のスケボー練習場を開設するなど、普及拡大への動きはある。ただ、交通の便や金銭的に厳しい若者らは「やる場所がない」という。ある中学生は「毎日スケボーができる所を探している」と話す。保護者も「自宅前でも通りがかりの人に危ないと注意されることがある。ここなら良いという場所が思い浮かばない」と悩む。
舞鶴市には無料の青葉山ろく公園スケートパークがある。危険回避と愛好者の受け皿を目的に、市が1998年に開設したもので、市内外から利用者が訪れる。舞鶴市の担当者は「事の起こりは福知山と同じモラル問題です。五輪以降の利用が増えており、ルールを守って使ってほしい」と話す。
■日本協会はモラル呼びかけるが■
日本スケートボード協会は「愛好者のみなさんには法律順守とモラルを守って楽しんでいただきたい」と啓蒙する。そのことを大前提とした上で、「行政や企業から相談を受けていますが、スケボーにとって『おいしく見える』場所に、禁止の張り紙一枚では防ぎきれない状況になってしまっています」と指摘。「抜本対策を講じる代わりに五輪種目として充実した練習場所の確保も目指していただければ」とする。
福知山と同じ府北部の与謝野町では、子どもを含む愛好者団体が練習場の設置を求める署名活動を行った。福知山では、そういったまとまった要望はこれまで市に届いていない。
写真=公園に設置されているスケボー禁止の立て看板