「不老長寿」のムベが夜久野で収穫期 大きな果実、甘みも十分
2021年10月26日 のニュース
京都府福知山市夜久野町西垣の農園で、「不老長寿の果物」と言い伝えがあるムベが収穫期を迎え、赤紫色に熟しかけたものを丁寧に摘み取っている。地元を元気村にと自治会事業として栽培を始めて5年目。今年は、果実を大きくすることを重視し、収穫目標数を減らした。作業は11月中旬まで続く。

ムベはアケビ科のつる性植物。実を滋賀県近江八幡市の大嶋奥津嶋神社が皇室に献上することで知られる。
天智天皇(626-671年)が狩りに行った際、元気な老夫婦に出会い、長寿の霊果として差し出された実を食べ、「むべなるかな(もっともだ)」と答えたとされることが名前の由来。西垣地区では、天智天皇とかつての天田郡夜久野の頭文字から「天夜(あまや)」と愛称を付けている。
全国で集団栽培するのが3カ所程度と少なく、西垣地区では特産品にするため近江八幡市で栽培技術を学んだ。休耕田を開墾した約7アールの農園に、2017年冬に約100本の幼木を植えた。初収穫した18年はわずか3個だったが、その後、木は高さ約2メートルの棚状になり、昨年は約2500個を収穫した。
鶏卵より一回り大きくなり、耳たぶほどの柔らかさに近づいたものを目安に、順番にはさみで摘み取り、パック詰めにする。今年は25日から夜久野高原の国道9号沿いのドライブインやくのに出荷を始めた。
今季は昨秋に剪定を強化し、さらに今春の摘果作業で、1房に付く個数をなるべく3個以上にならないようにし、大きな実で市場価値を高めることにした。そのため収穫目標数を1千個に抑えた。
中島千弘自治会長は「試行錯誤しながらの栽培ですが、軌道に乗り、良い品質のものが収穫できるようになりました。甘みも十分で、ジャムや羊かんなどの2次産品づくりにも試験的に取り組んでいます。関東や京阪神からの購入希望もあり、予想以上の反響に驚いています」と話している。
値段は1パック3個から5個入りで700円(税込み)。摘み取り体験は1千円(中学生以上)。問い合わせは事業部長の衣川秀正さん、携帯電話090・8822・6001へ。
■11月3日に収穫祭■
11月3日午前9時から収穫祭を開く。地区内外問わず参加できる。ムベジャムやムベを生かしたジビエ料理などを味わえる。参加無料。小雨決行。希望者は直接会場へ。
写真=収穫作業をする中島自治会長(左)と衣川事業部長