増えるツキノワグマ 今秋から狩猟解禁 京都府

2021年09月30日 のニュース

 京都府は今年度の狩猟期間(11月15日~来年2月15日)から、ツキノワグマの狩猟を解禁する方針を決めている。府内のツキノワグマの頭数が増えてきているためで、狩猟が解禁となれば、府内では約20年ぶりとなる。

 京都府内では以前、ツキノワグマの狩猟を認めていたが、2002年度の調査では生息数が300頭(丹後個体群120頭、丹波個体群180頭)にまで減った。このため府は、絶滅の恐れのある野生生物の一覧を載せたレッドリストで、「絶滅寸前種」として、同年度以降の狩猟を禁止した。

 その後、生息数が増加。昨年12月の調査では、1640頭(丹後個体群990頭、丹波個体群650頭)にまで増えた。府では生息数が増えたことで、今年度、レッドリストの改定を行い、ツキノワグマを絶滅寸前種から「要注目種」に変えた。

 捕獲数の上限は、国のガイドラインに基づき、丹後個体群においては生息数の15%、丹波個体群は12%にするように検討している。

福知山でも目撃多く

 福知山市内は、由良川を挟んで西側の丹後個体群と東側の丹波個体群に分かれている。市内でも、このところツキノワグマの目撃情報が相次いでいて、市農林業振興課によると、今年は9月27日現在で59件が寄せられている。だが、目撃しても報告されていないものが相当数あり、実際はこの数よりはるかに多いと思われる。

 天座区の松田政数さん(77)は、自宅が山のすぐ近くにあり、クマは年中庭先までやって来る。7月には自宅そばの畑にいたところ、近くの小道にクマが現れた。畑は周囲に柵が設けられていたため、クマが入ってくることはなく、難を逃れたという。

 松田さんは「クマに襲われないか、いつも不安でいっぱいです。狩猟解禁は賛成で、少しでも頭数が減ればありがたい」と話す。

市は被害防止捕獲を実施

 市農林業振興課は、これまで通り、頻繁に民家近くなどに出没するクマを対象に、おりを仕掛けて捕らえ殺処分する「被害防止捕獲」を府の許可を得て実施する。

 「クマの狩猟が解禁されることで、生息数が減り、すぐに安全になるという確証はありません。クマを寄せ付けないため、果実などは早めに収穫し、生ごみなど餌になるものを放置しないよう市民に呼びかけていきたい」と言う。

保護と防除のバランスを

 府の緑の指導員で、クマなどの保護活動をする森方徹さん(74)=堀=は、府の依頼を受け、京丹後市から福知山市大江町にかけての山林の約80カ所にカメラを取り付け、生息調査を行っている。

 ツキノワグマの狩猟解禁については、被害防止捕獲だけで十分ではないかと考える。「人身被害が頻繁に出ているのであれば解禁すべきだが、そうではないようなので…。クマはカキやクリなどを好んで食べるものの、シカやイノシシに比べれば、作物の被害は少ないと思われます」と話す。

 さらに「クマの生息数が減れば狩猟を禁止し、再び生息数が増えれば解禁するというようなことを繰り返してほしくない。保護と防除のバランスを常に考えていただきたい」と望んでいる。

 府農村振興課は、今後、府内の市町村や近隣府県の関係者らと協議を重ね、府民からの意見も考慮し、適正な生息数を保っていく管理計画を10月末までに立てていくことにしている。

写真=民家に現れたツキノワグマ。住民が網戸一枚を挟んで対面した(2019年8月)

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