小規模農家も“手が出せる”スマート農業 田の水位自動管理システム開発
2021年07月16日 のニュース

毎日の田んぼの水管理を、簡単な装置で自動化するシステムを近畿職業能力開発大学校京都校(ポリテクカレッジ京都)=舞鶴市上安=の情報通信サービス科が開発した。20日に京都府が北部産業創造センター(JR綾部駅北口前)で開く新産業創出イノベーション交流会で、企業向けに事業化提案する。交流会は無料。オンライン聴講もできる。
小規模、個人経営農家がスマート農業に乗り出すには、簡単で安価な仕組みが必須だとして、加畑満久特任能開教授を中心に、科の先生や生徒たちも協力して開発に取り組んだ。
田にセンサーを置き、スマートフォンや自宅のパソコンなどを使って水位を監視し、給排水を自動化するシステム。希望に応じて助剤などの投入もできる仕組みにした。
給排水バルブを風船型にすることで、既存の給排水管がそのまま使えて設置作業が簡単に済み、台風などの緊急時には今まで通り、手動での対処もできる。

制御装置は乾電池で動き、給排水バルブも小さなバッテリーで駆動。ソーラーパネルや流水発電装置などで対応できることから、電源が農地で確保でき、保守管理が楽だという。
制御用プログラムや装置に特別なものを使わず、手に入れやすいものを探したり、サーバー系CPUや基地局PCなどには、最新タイプながら普及が始まったものを採用することで、全体の価格を抑えた。
基本的なシステムは出来上がっており、製品化に移行する段階だが、加畑特任能開教授は「水田1枚10万円以下を目指したい。高齢化が進み、営農人口が減少する地方でこそ活用してほしい」という。
写真下=開発の中心となった加畑満久特任能開教授