JR福知山駅で対話ロボットの実証実験 接客サービス向上にと公立大など共同で
2021年07月12日 のニュース

接客サービスの向上につながればと、JR京都府福知山駅で12日から、道案内などができる「対話ロボット」の実証実験が始まった。18日までの1週間、同駅の改札口付近に設置し、利用者の反応を調査する。
実証実験は、福知山公立大学=福知山市西小谷ケ丘=の倉本到・情報学部教授(46)とJR西日本福知山支社(宮本芳明支社長)などが共同で行う。
「ロボットによるおもてなし」などをテーマに研究する倉本教授が2019年夏、JR西日本福知山支社と産学連携で課題解決ができないかと協議を始め、ホテルなどで活躍する対話ロボットに着目。すでにこの分野の研究を進めていた、メディア事業などを手掛けるサイバーエージェント(東京都)や大阪大学大学院基礎工学研究科が、培ってきた自動対話技術を活用して、実験することになった。
AI(人工知能)を搭載した対話ロボットは、人の接近を検知して「福知山駅へようこそ」などとあいさつしたり、乗り換え案内や駅周辺の施設情報などの質問に回答したりする。返答は約100パターンあり、倉本ゼミの学生3人が考えた。
また、目的地までの地図を表示するなどの補足情報がロボットの横に設置したディスプレーに表示されるほか、ロボットが理解できない複雑な質問に対しては、遠隔地で待機している駅員が音声で回答するという。ロボットは高さ30センチほどで、机の上に置ける。
期間中は原則、毎日午前と午後にそれぞれ2時間ほど設置し、利用者の満足度や遠隔から対応する駅員の負担軽減、ストレスのないコミュニケーションが成立するかなどを調査する。
倉本教授は、「ロボットと人間のそれぞれの良さを組み合わせて、サービス向上につなげたい。できないとされていたことを技術の力でできるように可能性を広げられれば。ロボットは身振り手振りを使って自然な対話をします。気になった方は、ぜひ話しかけてください」と話している。
JR西日本福知山支社地域連携推進室担当室長の上田陽平さん(25)は、「新型コロナウイルス対策で、駅員と対面したくない人の利用やみどりの窓口での接客軽減などの利点が感じられる。利用者の反応がとても楽しみです」と期待している。
写真=福知山駅の改札口付近に設置した対話ロボット(12日 午前10時15分ごろ)