市バス減便地域で自家用車使い、やさしい「鬼タク」 大江でスタート
2021年07月01日 のニュース

過疎化で利用が少ない市バスの減便などで、これから交通空白地となる京都府福知山市大江町で、大江まちづくり住民協議会(桑原守朗会長)が1日、有償運送事業を始めた。鬼伝説の町・大江町にちなんだ「鬼タク」の名称のもと、自家用車を使い、町内で地域住民を個別移送する。府内初の事業者協力型有償運送として、市内のタクシー業者が予約の受け付け、配車手配、車両整備などの管理をする。
交通空白地有償運送は、バスやタクシーなどの公共交通による移動手段が十分に確保できない場合に、地域組織やNPO法人などが自家用車を利用して、営利とは認められない範囲の運賃で運行する制度。大江町内では、市の地域公共交通網形成計画に基づいて、11月から市バスの便、区間を削減する予定になっている。
このため協議会では地域住民の大切な交通手段を確保するため、減便などを前に有償運送事業に乗り出した。
事業者協力型有償運送は、昨年11月の法改正で創設された。鬼タクの協力事業者は市内のタクシー事業者、有限会社慶和(ふく福タクシー)で、より安全で便利なサービスの提供に努める。
運送は運転会員が自家用車に利用会員を乗せて、町内を走る。利用できるのは、年末年始を除く月曜日から土曜日までで、時間は午前8時30分~午後5時。利用料は1人1回(片道)400円で、会員登録料として1人500円(登録時のみ)がいる。現在利用会員は52人(平均年齢83歳)の登録がある。
また鬼タクでは、生活利用のほか、町内の観光利用客向けにも運行。京都丹後鉄道大江駅から元伊勢3社、大江山方面へ行くコースと同駅からあしぎぬ大雲の里、才ノ神の藤公園方面へ行くコースで、土、日曜、祝日に走らせる。だれでも利用でき、1回1人800円(片道)。
運転会員は定年退職者や農業従事者、会社員らで、現在18人が登録。1回につき手当がつく。
初日の朝、同町河守中央の鬼瓦公園で出発式があり、関係者ら約50人が出席し、事業のスタートを祝った。
桑原会長(68)があいさつに立ち、「安全な運行を確保し、より良いシステムへ知恵を絞り、住民のみなさんに喜んでいただけるように取り組んでいきたい」と述べた。
来賓の大橋一夫市長は「鬼タクを公共交通再編のモデル事業として位置づけ、利用状況を検証し、市バス路線の再編に取り組んでいきたい」と話した。このあと運転会員が使う車の前でテープカットをした。
利用申し込みは電話0773(33)5533のふく福タクシーへ。
写真=テープカットをして事業のスタートを祝った(1日午前9時5分ごろ)