町内会の防災情報共有にオープンチャットを活用 豪雨被災を教訓に和久市町
2021年06月29日 のニュース

2014年の8月豪雨で被災した京都府福知山市の和久市町自治会(山邊義弘自治会長)は、災害時の迅速な情報共有にと、無料通信アプリ・ラインのオープンチャット機能を活用している。26、27両日に初めての実践訓練をし、手応えを得た。
和久市町は市街地にあり、戸建てと集合住宅で420世帯が暮らす。8月豪雨では広範囲にわたって床上浸水した。
防災への関心を高め、自治会は自主防災マイマップを3月に作り、併せてオープンチャットの運用も始めた。
オープンチャットは、ラインの友だち登録をしていない人たちでも、グループで集まってメッセージや画像のやり取りができる。自分のラインアカウントとは別の名前を使えることで気軽に参加しやすい利点もある。
オープンチャットに参加するためのQRコードは防災マップに記してあり、訓練の日までの1週間余りで登録者数は86人になった。

訓練は26日から27日にかけて断続的な大雨が降っているとの想定。山邊自治会長がオープンチャットで訓練開始を告げ、住民らが現場の写真を付けて浸水状況や避難状況を投稿していった。
和久市町は戸建て住宅への移住が続いており、集合住宅も多い。土地勘がない人にも災害情報が分かりやすいように、防災マップは横軸をA~Zのアルファベット、縦軸を1~26の数字で座標を付けている。
訓練でも「G13の橋から西川を撮りました」などの投稿があり、防災マップの位置と照らし合わせて見ることができた。
山邊自治会長は「訓練では、投稿をしていない人もほとんどが閲覧をしてくれていたので、情報共有を図ることができた」と総括した。
訓練を見守った市危機管理室の高橋和利さんは「ライングループでは見られたくない個人情報までつながってしまうので、オープンチャット機能はプライバシーの配慮にも有効。他地域でも活用できると思います」と期待している。
写真上=訓練状況を確認する山邊自治会長(左)と市危機管理室の高橋さん
写真下=訓練時のオープンチャットの画面